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高橋周平が昨年までと別人? 他球団から「中日で最も怖い打者」警戒が

 

復帰した試合で大歓声


中日打線で欠かせない存在となっている高橋周


 中日が優勝争いに食い込めるか。命運を握るキーマンの一人が高橋周平だ。

 2年連続最下位から巻き返しを狙う今季、一時は首位に立つなど春先の快進撃を支えたのが高橋周だった。開幕から「三番・三塁」でスタメン出場し、勝負強い打撃を発揮。バットのヘッドを投手側に傾けた新たな打撃フォームがはまった。内角の厳しい球を器用にさばき、以前なら空振りしていた外角の落ちるボール球を見極められるようになった。だが、好事魔多し。4月16日のヤクルト戦(バンテリン)。三遊間の打球を処理するために、右足を引いて踏ん張って送球すると異変が。右足を引きずり、顔をしかめた。途中交代し、病院で検査を受け、「右ふくらはぎの肉離れ」の診断で戦線離脱した。

 開幕から9勝4敗と好調だったチームは、高橋周が離脱した1カ月半で下降線をたどり借金生活に。リハビリからスタートしたファームで悔しい思いはあっただろう。コンディションを整えて一軍に再昇格したのが6月11日の日本ハム戦(エスコンF)。途中出場で三塁の守備に就くと、スタンドから大歓声が起きた。週刊ベースボールの取材で、このときの心境を振り返っている。

「右ふくらはぎの肉離れで離脱したのが4月中旬ですから、2カ月弱、十分なリハビリ、再調整期間を過ごして、ようやく一軍に呼ばれました。チームに合流したのが6月10日。日本ハムとの交流戦で札幌へ移動する日でした。試合に出たのは翌11日のゲームです。終盤の守備固めとして三塁のポジションに就きました。そのときの声援がすごく大きくてビックリしました。大き過ぎて恥ずかしいぐらい。スタメンで出たわけでもないのに、期待してくださっているファンの方が大勢いて……本当にありがたいことです。二度とケガしないようにとファームでやってきました。与えられた場面で、思い切ってプレーしていきたいと思います」

打線を勢いづける価値ある一打


 ファンに恩返しをするためには、勝利に貢献するしかない。7月に入ると出色のパフォーマンスを見せる。11日のDeNA戦(横浜)で4回に同点の中前適時打を放つと、12日の阪神(バンテリン)で2回裏無死二塁の好機に、村上頌樹の内角をえぐるカットボールに反応して右翼線を破る先制の適時二塁打。価値ある一打で打線を勢いづける。10対8と乱打戦を制した13日の阪神戦(バンテリン)でも反撃の口火を切る一発で試合の流れを変えた。2点差を追う2回無死二、三塁で伊藤将司のカーブを右翼席に運ぶ2号逆転3ランを放った。

 高橋周に回せば、走者をかえしてくれる――。中日ファンの期待が高まる中で、輝きが持続している。14日の阪神戦(バンテリン)は延長戦の末に敗れたが、延長10回一死一、二塁の好機で左中間に適時二塁打を放つなど今季5度目の猛打賞をマーク。4試合連続打点で得点圏打率.385とポイントゲッターとして稼働している。

「今のほうが厄介な選手」


自分のポイントでしっかり打球を打ち返している印象だ


 開幕前は一軍を保証されていなかった。ゴールデン・グラブ賞を2度獲得するなどかつては三塁のレギュラーで活躍していたが、近年は打撃不振で出場機会を減らして存在感が薄くなっていた。昨季は86試合出場で打率.215、0本塁打、14打点。三塁でのスタメン出場は28試合にとどまり、石川昂弥の95試合出場に大きく差をつけられた。

 ポジション争いの序列をひっくり返し、攻守に不可欠な存在に。他球団の首脳陣はこう分析する。

「レギュラーで活躍していた数年前より今のほうが厄介な選手です。バットがしなるような打ち方で見逃したと思ったらバットが出てくる。懐が深くなり、自分のポイントで打てているので緩急に崩されず、強い打球が打てている。中日打線の中で最も怖い打者ですし、高橋周が打つと打線全体が勢いづく。走者を背負って勝負したくない打者です」

 ドラフト1位で入団し、紆余曲折を経てプロ13年目を迎えた。まだ30歳。野球人生の全盛期はこれからだ。

写真=BBM
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