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【高校野球】ベスト8で涙をのんだ桐光学園 ポリシーを貫いた主将・森駿太

 

後悔なき取り組み


試合後、桐光学園高ナインは涙が止まらなかった。左端が森主将[写真=BBM]


【第106回全国高校野球選手権神奈川大会】
7月20日 サーティーフォー保土ヶ谷球場
▽準々決勝 横浜高9−2桐光学園高
(7回コールド)

 最後の一球まで、チームを激励、鼓舞する声を出し続けた。右袖に主将マークを縫い付けている以上、下を向くわけにはいかない。しかし、力及ばず、2012年以来12年ぶりとなる夏の甲子園は届かなかった。

 7回コールド敗退。桐光学園高の主将・森駿太(3年)は試合後の整列、三塁スタンドへの挨拶を終え、ベンチ前に引き揚げるとひざまずき、しばらく立ち上がることができなかった。昨秋は県大会優勝で、関東大会8強。センバツ甲子園は「補欠校」と、惜しくも選考から漏れた。直後に夏の「全国制覇」を目標に、再スタート。桐光学園高・野呂雅之監督の指導の下、チームをけん引してきた。

 五番・三塁で出場した横浜高との準々決勝は、3打数1安打。0対3で迎えた6回表無死二、三塁では空振り三振と、好機で一本を出すことができなかった(後続が適時打、内野ゴロの間に2得点で1点差まで追い詰める)。

「ここまで4試合、仲間に助けられてきて、今度は自分が返す番。一本を出せなかった自分に、カツを入れたい。すべて自分のせい、と思われても構わない。2年生、1年生には、こんな思いをしてほしくない。過去には戻れないので、自分が伝えるべきことは伝えていきたいです」

 森には「一つ決めたことは、最後までやり抜く」というポリシーがある。野呂監督が「チームで一番、努力する」と認める練習の虫。甲子園まで「あと3勝」で惜敗したが、夏までの取り組みには一日たりとも後悔はない。

桐光学園高の主将・森は守備中、ピッチャーを鼓舞し続けた[写真=BBM]


 高校卒業後の進路については、かねてから「プロ志望」を口にしていたが、この日の試合後、あらためて「プロという新しい世界に入れるように、完璧な選手ではないので、良さを磨き、自分を見つめ直してやるべきことをやっていきたい」と話した。右投げ左打ちの大型内野手は、将来性が注目されている。

「ここから(野球を続けていく上で、周囲が認めるに)ふさわしい人間、応援される人間になるために、気を引き締めていきたい」

 結果は自分でコントロールすることはできない。ただ、過程、準備については、本人次第ですべてを動かせる。人生も、変えられる。

 約10分の取材中、最後まで、涙が止まらなかった。負けて得た学びを胸に、信じた道をまっすぐに突き進む。

文=岡本朋祐
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