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真夏の祭典いざ開幕! 第95回都市対抗野球大会

【都市対抗】「元プロという感覚はない」 ヤマハ・網谷圭将が社会人野球に懸ける心意気

 

ワクワク感と緊張感


ヤマハ・網谷は鋭いスイングが持ち味。3回に二塁内野安打を放った。チームは初戦敗退を喫している[写真=田中慎一郎]


【第95回都市対抗野球大会】
7月20日 東京ドーム
▽1回戦 明治安田11−1ヤマハ
(8回コールド)

 第95回都市対抗野球大会2日目。第1試合では昨年、準優勝だったヤマハ(浜松市)が、強豪ひしめく東京地区を第2代表で勝ち上がった明治安田(東京都)と対戦した。

 今季のヤマハをバットで引っ張ってきたのが網谷圭将(千葉英和高)だ。網谷は千葉英和高から2015年の育成ドラフト1位でDeNAに入団。プロとして3シーズンをプレーしたが、18年のオフに戦力外通告を受けて退団。翌年からはヤマハに所属し、今季で6年目を迎える。

「育成で3年間、やらせていただきましたが、自分は元プロという感覚はないんです。社会人野球は一発勝負のトーナメントでワクワク感と緊迫感の両方があって楽しいですね。そして、その緊迫した雰囲気に打ち勝ったチームが勝ち上がっていくんだと感じています」

 昨季の都市対抗大会では久慈賞を受賞し、社会人ベストナインにも選出。台湾で行われた「2023アジアウインターベースボールリーグ」ではJABA選抜として打率.443、1本塁打、11打点の好成績を収めた。

「一昨年にトップからインパクトまでの時間を速くするようにしたのですが、インパクトまでのタイムが速くなった分、近くまでボールを引き寄せて打つことができるようになりました」

 この冬のオフシーズンは「例年以上に、筋トレに励んできました」と体力を強化。さらに、「今季は対応力を意識してプレーしてきました。打席での自分の引き出しを増やすことで、どんな投手に対しても柔軟に対応できたと思います」と話すように、4月のJABA京都大会では打率.524(21打数11安打)、3本塁打と打撃好調で、首位打者賞と敢闘賞を受賞。5月のJABA東北大会でも打率.500(12打数6安打)で首位打者と圧倒的な成績を残してきた。申原直樹監督(中大)も「網谷はチームの中心。今季は試合中に修正しながら打つことができるようになりました」と、全幅の信頼を寄せている。

秋の日本選手権に向けレベルアップ


 明治安田との1回戦は「三番・右翼」で先発出場。第2打席ではHondaからの補強選手で先発の左腕・東野龍二(駒大)に対し「チェンジアップが良かったので、おっつけていこうと考えていました」と逆方向へ、ファーストの頭上をライナーで襲うヒットを放った(記録は二塁内野安打)。

 しかし、試合は同点の7回裏に一挙、5点を奪われる苦しい展開。直後の8回表には無死一、二塁のチャンスで打席に立ち、三遊間へ鋭い打球を飛ばすも、三塁手が横っ飛びでキャッチするファインプレーに阻まれサードゴロ。その後の一、三塁のチャンスも生かせずに無得点に終わると、8回裏には中川智裕(近大、セガサミーから補強)に満塁弾を打たれるなど、またも5失点で1対11。8回コールドで初戦敗退となった。

 試合後、「自分の力不足。三番は流れを変える一打が期待されている打順ですから」と敗戦の責任を背負い「8回のチャンスであの打球が抜けないというのは、技術だけの話じゃないんでしょうが……。集中力がもう一つ、なかったのかもしれません」と振り返った。

 今後に向けて「何が足りなかったのかを整理して、まずは秋の日本選手権。一球目からスイングしていけるように心技体のすべてを高いレベルへ作り上げていきたい」と目標を掲げた。NPBを経由しているとはいえ、今年で27歳。頂点を目指して、まだ成長を続ける。

文=大平明
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