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【大学野球】「伝統の力」「準備力」「チーム力」大学ジャパンが国際大会「11戦全勝」で優勝できた理由

 

充実の海外遠征


堀井監督[右]はハーレムベースボールウィーク、印出主将はプラハベースボールウィークの優勝トロフィーを手に笑顔を見せた[写真=BBM]


 侍ジャパン大学代表が7月21日に帰国した。第43回プラハベースボールウィーク(チェコ)で優勝を遂げ、第31回ハーレムベースボールウィーク(オランダ)で2大会ぶり5度目の優勝。2大会を通じて14日間で11試合を消化するという過密日程だったが、「11戦全勝」と充実の海外遠征となった。

 なぜ、短期間で代表24人が結束し、11連勝という結果を残すことができたのか。侍ジャパン大学代表を指揮する堀井哲也監督(慶大監督)は3つのチーム方針を、勝因に挙げた。

「海外での試合ということで心身のタフさ。今までやってきた日本の野球、チームでやってきたことを出し切ろう、と。特別なことをする必要はない。海外の野球を体験して、学べるところは学ぶ。この3つは、結果が出たこともありまして、選手の心に深く刻まれたのではないかと、うれしく思います。記憶にも記録にも残るような大会となりました」

 具体的には、大きく3つの理由があった。

 まずは、日本野球の「伝統の力」である。

「多くの選手が小学校から野球を始めて、いろいろな知識がたたき込まれ、中学、高校を経て、大学でしのぎを削り、全国大会を目指している。日本の学生野球の文化。先人が作ってきてくれたものもあるんですけど、その差が試合に出ました。投手、打撃を含めた細かい部分まで、一朝一夕では教えられない、身につかないものが選手たちには染み込んでいる。野球だけではなくて、審判員へのリスペクト、ゲーム運びのスピード感。そういった姿勢が相手のミスを生んで、勝たせてもらった。選手にも話しましたし、実感しました」

 次に選手の「準備力」である。

「投手11人、野手13人。力の差は、そんなにありません。2つの大会を通じて『誰が出ても良いような準備をしてください』と指示を出してきましたが、それを体現してくれました。実際、プラハの決勝とハーレムの決勝では、(DHを含め)先発野手3人が代わっています。選手の力が、拮抗していました」

 最後に主将・印出太一(早大4年・中京大中京高)を中心とした「チーム力」である。

「印出キャプテンが『最終戦で最高のチームを作ろう!!』と言い続け、まさに、戦いながら強くなっていった。トーナメント、リーグ戦でもよくあるパターンですが、ハーレム大会ではそれが顕著でありました」

8月下旬に再結集


 印出はチームとしてのターニングポイントは、国内直前合宿で侍ジャパンU-23代表候補との練習試合で、連敗したことを挙げた。

「レベルの高い社会人選手と試合をさせていただき、最初に負けを知ったことにより、チームとしての課題を明確化することができました。逆に理想的な勝ち方をしていたら、良くなかった。連敗から(実戦の)スタートが切れたのが、大きな要因だったと思います」

 連敗から11連勝。この日、チームは解散となったが、8月28日、高校日本代表の壮行試合(ほっともっとフィールド神戸)で大学日本代表は再結集する。

「この代(大学4年生)はコロナ禍で高校3年夏は独自大会(甲子園出場をかけた地方大会、全国大会中止を受け、全国47都道府県連盟が主催)だったので、U-18の編成もできていません。高校時代のU-18と(4年後の)大学ジャパンは比較できない代ですけど例年、高校時代は代表メンバーに入っていなくても、大学で日の丸のユニフォームを着る選手が多いので、大学4年間の成長した姿を見せつけたらと思います。それが、最大の壮行試合になる」(堀井監督)

 主将・印出も「多くの野球ファンが注目する試合になりますので、大学代表として、高校生に負けるわけにはいかない。そのプライド、海外で培った経験を高校生にぶつけることが自分たちの使命。そこを壮行試合で全うできるように、夏の厳しい練習を頑張って、8月28日に合わせたいと思います」と語った。

 7月4日の出国から帰国までの18日間、最高の仲間たちとプレーした経験は代表24人にとって、野球人生における宝物となった。

文=岡本朋祐
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