女性として初めてのリーダー

有磯団長[左]と齋藤さん[右]はJFE東日本の応援団としてグラウンドを後押しした[写真=大平明]
【第95回都市対抗野球大会】
7月21日 東京ドーム
▽1回戦
日本製鉄かずさマジック6-5JFE東日本
3年ぶり26回目の出場となるJFE東日本(千葉市)の応援団を率いる、団長を務めるのが有磯はるかさんだ。2012年の入社とともに応援団へ入り、20年から団長。その後、育休を挟んで今年4月に応援団長として復帰した。
「JFE東日本の女性の応援団員はマイクなどの担当になるのですが、女性の団員が少ないので『私がリーダーとしてステージ立てば、もっと女性が増えるのではないか』と思い、14年の冬からマイクと掛け持ちですが、女性として初めてリーダーをすることになりました」
リーダーとしてのパフォーマンスで心がけているのは「どうしても男性より振りが小さく見えてしまうので、負けないように大きく。そして、見栄えが良いように腕を止めるところはきっちりと止めるように意識しています」とのこと。団長としての東京ドームは21年以来2回目だが「前回はコロナ禍の影響がまだ残っていて声出しの応援ができなかったので、思いきり声を上げて応援できるのは久しぶり。緊張とたかぶる気持ちの両方を感じています」と話す。
もともとは体育の授業のダンスも得意ではなかったというが「野球部のファンの方々と一緒に声を出して盛り上がることで皆さんの笑顔が見られるとうれしいですし、応援が好きなんです」とやりがいを感じている。

有磯団長はマイク担当としてもスタンドを鼓舞する[写真=大平明]
JFE東日本はスタンドの大観衆を味方につけた応援が持ち味だ。
「一体感があってすごい声量なので、相手チームの選手や応援団はやりづらいのではないかと思います。なかでも、盛り上がるのがJFE
コール。『ポパイ』の音楽に合わせて選手の名前などをコールするのですが、このとき、観客の皆さんには持っているうちわの黄色の面をグラウンドに向けて振りあげてもらうので、すごい迫力があるんです」
初回の攻撃開始時に流される『ダイバスター』など、事前に演奏するタイミングを決めている曲もあるが、団長の有磯さんが試合展開を見ながらアドリブで曲目を選ぶ場面も多く、観客の大歓声を引き出す大きな役割を果たしている。
「皆さんの声を選手に届けて、後押ししたいです」
「応援に関しては生涯現役でいたい」

齋藤さんはリーダー台で、大きな振りを披露した[写真=大平明]
有磯団長の後に続くように、今年から女性リーダーをしているのが齋藤璃乃さんだ。今年入団したばかりの新人で大学時代はチアリーダーをしていた。
「学生時代から社会人野球の応援をしたいと思っていました。まだ入ったばかりなので、振りを覚えるのが大変ですが、電車の中では応援の曲を聴き、家では自主練習もしていました」
有磯団長からは「体力面では男性にかなわないのですが『一緒に頑張ろう』と声をかけてもらっています。あとは、応援で動いていると髪の毛が顔によく当たってしまうんですけれど、そんな女性ならではの話もしています」と、かわいがってもらっているという。
今後も「応援に関しては生涯現役でいたいです」と話しており、ゆくゆくは2人目の女性団長という未来があるかもしれない。
同じ南関東地区の日本製鉄かずさマジック(君津市)との初戦を前に「黒獅子旗を持って帰ってきてもらいたいです」(有磯団長)、「少しでも選手の力を与えられるように頑張ります。チームには勝ち進んでいってほしい」(齋藤さん)と話していた2人。試合は5対6で敗れてしまい、願いはかなわなかったが、有磯団長と齋藤さんは最後の1球まで全力応援を繰り広げた。
文=大平明