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真夏の祭典いざ開幕! 第95回都市対抗野球大会

【都市対抗】三菱重工West初戦突破に貢献した北條史也 元プロは「まだこれから進化できる」と貪欲

 

チームの模範になる30歳


第3打席の5回表、都市対抗初安打となる中前打を放ち、一塁ベース上でポーズを見せる[写真=矢野寿明]


【第95回都市対抗野球大会】
7月23日 東京ドーム
▽1回戦
三菱重工West5-3王子

 第95回都市対抗野球大会5日目。第1試合には阪神から今季、三菱重工West(神戸市・高砂市)に入社した北條史也(光星学院高)が三塁手で先発出場。昨年、4強の王子(春日井市)と対戦した。

 光星学院高時代は2011年夏から12年夏まで甲子園で3季連続準優勝。3年生の夏は4本塁打を放つなど大活躍した。ドラフト2位で阪神に入り、プロ11年間で通算308安打、18本塁打を記録した。三菱重工Westでは「誰にでも、なんでも言えるようになっているのでチームに溶け込んでいると思います」とのこと。そして、関西のチームでだけに「会社には阪神ファンが多いと聞いているので盛り上げていきたいです」と語っている。

 バットも好調だ。都市対抗の近畿地区2次予選では打率.364(11打数4安打)の好成績を収め、4打点はチームトップ。日本製鉄瀬戸内(姫路市)との第3代表決定戦では先制した直後の二死一、二塁から2点タイムリーツーベースで貴重な追加点を加え、チームの本大会出場に貢献した。その後のJABA北海道大会も打率.357、4打点と好調を持続し、大会途中からは四番も任された。津野祐貴監督(日体大)は「NPBで10年以上やってきたわけですから、もちろん技術は高い。普段の野球への取り組み方や試合への準備などもチームの模範になってくれています」と話す。

 この日の王子との一戦では二番に起用されたが「補強選手が入ってからはオープン戦でも二番だったのでいつもどおりにプレーできました。緊張もあまりしなかったですね」と北條。1点を追う5回表の第3打席では「低めに集めてくる投手なので狙っていました」と低めのボール球のカーブをとらえ、ピッチャーの左をライナーで抜いていくセンター前ヒット。その後、西岡武蔵(三重高)の適時二塁打で同点のホームを踏んだ。第4打席はフルカウントから144キロのストレートをライトへはじき返してマルチ安打を記録。二盗も決めると、三井健右(立大、大阪ガスから補強)の中前打でホームへ。クロスプレーもタッチをすり抜けてホームインし「出塁することを心掛けていたのですが、勝ち越し点の時はうれしかったです」とガッツポーズを見せた。

「まずはチームが勝つこと」


7回表には右前打。三番・三塁で先発出場した北條は4打数2安打で初戦突破に貢献した[写真=矢野寿明]


 北條が2安打2得点の活躍を見せた三菱重工West。投げては先発・竹田祐(明大)が145球の熱投で完投し、5対3で王子を下して3年ぶりの初戦突破を決めた。2回戦は前大会優勝のトヨタ自動車(豊田市)と対戦することになるが「相手を考えずに自分たちの野球を思い切って楽しんでやりたい」と北條。NPBとは違い、都市対抗ではトーナメントで日本一を争うが「今日、勝ったことで実感しました。負けたら終わりなので、悔いを残さずにプレーしたい」と話している。

 そして「プロはまず個人がありましたが、社会人野球は勝つことで会社が盛り上がり、メディアにも社名を取り上げてもらえる。だから、自分がノーヒットでも、まずはチームが勝つことです」と続けた。

 ちなみに、対戦相手の王子には光星学院高の同級生だった大杉諒暢(中部学院大)が八番・中堅手でプレーしていた。今年で30歳になる両選手だが「この年齢になっても高校の同級生が現役でプレーしてくれていることがうれしいですし、大杉も『(北條が)社会人野球に来てくれてうれしい』と言ってくれました。今日は大杉も守備で好プレーをしていましたから、お互いに良かったと思います」と話していた。

 ただ、30歳はまだ老け込むには早すぎる。実は6月のJABA北海道大会を終えてからは積極的にウエート・トレーニングに取り組んでおり「社会人はプロのようにずっとシーズンが続くわけではないので、体を大きくして長打も打てるようにしたいと考えています。全体的に体を鍛えているのですが、体重は80kgから82kgになりました」とシーズン中ながら1カ月ほどで既に体重が2キロも増えている。「まだこれから挑戦できると思っています」と未来を見据える北條の野球人生はまだこれからだ。

文=大平明
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