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メジャー注目は高橋宏だけではない…最速156キロの中日右腕に「すごい球投げる」

 

1年目からセットアッパーとして稼働


中日投手陣で中継ぎとして欠かせない存在になっている松山


 上位進出に向け、巻き返しを狙う中日。7月30日のヤクルト戦(バンテリン)は先発の高橋宏斗が7回4安打無失点の快投で今季8勝目をマークし、チームの連敗を5で止めた。高橋宏が日本を代表する絶対的エースとしての階段を駆け上がっている中、メジャーが注目するもう一人の右腕がいる。プロ2年目の最速156キロ右腕・松山晋也だ。

 アメリカで取材するスポーツ紙記者が、こう証言する。

「高橋宏はメジャーからの注目度が高い投手ですが、試合を視察した西海岸のスカウトが『松山も素晴らしい。球威十分の直球と落差の大きいフォークで抑える姿は大魔神・佐々木主浩(元横浜、マリナーズ)を彷彿とさせる。すごい球を投げているし、メジャーでも通用する』と絶賛していました」

 育成枠で入団した1年目の昨季は6月5日に一軍昇格すると、セットアッパーとして稼働。188センチの長身からダイナミックに投げ下ろすフォームで、三振の山を築いた。36試合登板で1勝1敗17ホールド、防御率1.27。35回1/3で50三振を奪った。

 今年3月には侍ジャパン強化試合のメンバーにも選出されたが、シーズンに入ると早々に試練を味わった。3月29日の開幕・ヤクルト戦(神宮)。1点リードの3対2の8回に救援登板したが、味方の拙守から無死一、二塁のピンチを招くとドミンゴ・サンタナに同点適時打を浴びるなど2失点と逆転を許して一死も奪えず降板。翌30日も1対0の8回に登板し、二死一、二塁で、ホセ・オスナに同点適時打を浴びた。

失敗を糧に高めたパフォーマンス


「2年目のジンクス」という言葉があるように、他球団が徹底的に研究するプロ2年目に活躍するのは難しい世界だ。松山は痛打を浴びた開幕カードの2試合について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っている。

「開幕戦はチームに負けをつけてしまったということに関して責任を感じていますし、翌日も同じようにいい場面で起用してもらったにもかかわらず、同点に追いつかれてしまったことは本当に申し訳なかったと思います。ただ、自分の中で危機感も覚えましたし、それ以外でもいろいろと感じられた部分もあったので、それも大きかったです。ここからが大事だと思いました」

 開幕戦は味方の守備に足を引っ張られたことが失点のきっかけになったが、言い訳にしない。

「でも、それは結局、打たれた僕が悪いので。大塚さん(大塚晶文投手コーチ)からは、ああいうところで踏ん張らないと、ここからだぞ、という話をいただきました。平野さん(平野佳寿オリックス)には自分から連絡して、いろいろと相談させていただきました」

 失敗の原因を分析し、パフォーマンスを高められる投手が一流と言える。松山はここからはい上がった。4月4日の巨人戦(バンテリン)以降で失点を喫した登板は2試合のみで、42試合登板、2勝2敗、28ホールド、防御率1.34。セットアッパーでの活躍を評価され、球宴にも初選出された。1戦目の6回に登板し、1回2安打1失点。シーズン中は「ガンギマリ」と形容される鋭い眼光で闘志を前面に出す投球スタイルだが、夢の舞台では笑顔を見せるなど、力と力の勝負を純粋に楽しんでいた。

「なる」「やる」と言い切る


 松山は2年目の目標として、「50試合登板、160キロ、防御率0点台」の3つを掲げている。登板数は早ければ8月中に達成できる。160キロ、防御率0点台にも大きな期待がかかる中で、自身の哲学を語っている。

「これは僕の考え方ですけど、なりたいと思います、やりたいと思います、では絶対になれないし、やれない。そうじゃなくて、なる、やると言い切らないと。160キロを投げたいと思います、ではなく、160キロを投げる。ただ、それを絶対に実現させるという意味でもなくて、そこは目標としてアプローチしながら、むしろ大切なのは1日1日の学びであり、積み重ね。気づいたらそれができていたというのがいいと思います」

 後半戦最初の登板となった7月28日の阪神戦(甲子園)では、同点に追いついた直後の9回にマウンドに上がり、二死満塁のピンチを迎えたが、大山悠輔を遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。目下19試合連続無失点中と抜群の安定感を誇る。将来は中日の守護神、侍ジャパンの守護神へ――。進化し続ける松山の投球に目が離せない。

写真=BBM
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