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絶好調の阪神・森下翔太に他球団が驚き 「スイング軌道が以前とまったく違う」

 

昨年より良い打ち方に


鋭いスイングでチームを上昇気流に乗せる森下


 7月下旬から8連勝と上昇気流に乗っている阪神。連勝中の8試合で55得点と打線が機能していることが要因になっている。その中心として絶好調の男が森下翔太だ。

 後半戦は27打数15安打、打率.556、2本塁打、10打点。走者を置いた場面で勝負強さが光る。8月2日のDeNA戦(横浜)で、1点差を追いかける6回一死二塁の好機に打席が回ってくると、ジャクソンの直球を詰まりながらも中前に運ぶ同点適時打。球団史上8人目の8試合連続適時打で試合の流れを変え、一挙4得点を奪って逆転勝利を飾った。

 他球団のスコアラーは絶好調の森下をこう分析する。

「スイング軌道が以前とまったく違います。5、6月はバットが下から出てしゃくりあげるような打ち方だったので球をとらえる確率が低く、変化球にも対応できていなかった。ファームでバットの軌道修正に取り組んだのでしょう。レベルスイングになり、点ではなく線でとらえる打ち方をしているので詰まりながらもリストで押し込みヒットゾーンに飛ばせる。バットも迷いなく出ているので、手ごたえがあるのでしょう。新人の昨年より良い打ち方になっている」

 2年目の今季は3、4月に計5本塁打と量産したが、5月以降は三振やフライアウトが目立つようになる。打率.232、6本塁打でリーグトップの打点30をマークしていたが、20打席連続無安打とスランプから抜け出せない。7月6日に登録抹消された。

序盤の打撃への指摘


 現役時代に巨人で首位打者を2度獲得するなど、球界を代表する巧打者として活躍した野球評論家の篠塚和典氏は、週刊ベースボールで選手の打撃を分析する企画「連続写真に見るプロのテクニック」で森下について以下のように指摘していた。

「コンパクトでありながら力感のある素晴らしいスイングですが、6本塁打を放っているものの打率は2割5分そこそこにとどまってしまっているのは事実です。それはどんなボールに対しても常に同じスイングスピードでバットを振ってしまっているからではないでしょうか。変化球などでタイミングを外されたりしたときも全力でスイングしていては、とらえる確率は上がってきません。時には泳がされることもあるでしょう。そうしたときにどうボールをとらえるかを意識すれば、もっと確率は上がっていくでしょう。体格もあり、パワーも秘めているわけですから、状況に応じて80%のスイングであっても、しっかりとらえることができればボールは勝手に飛んでいくはずですし、その結果として本塁打の数も増えていくはずです」

連覇へのカギを握る背番号1


勝負の8月に打撃で真価を発揮していく


 約2週間の調整期間を経て一軍に復帰すると、後半戦から打棒が爆発する。7月26日の中日戦(甲子園)で7回二死一、二塁の好機に藤嶋健人の変化球を左翼席に運ぶ3ラン。27、28日の同戦は猛打賞と広角に安打を量産した。同一カード3連勝を飾った30日からの巨人3連戦(甲子園)でも、バットが振れていた。1戦目は3点リードの8回に平内龍太の直球を振り抜き、左中間最深部に8号ソロ。2戦目は平内との再戦が波紋を呼んだ。

 4点リードの7回二死二、三塁。初球に頭部付近の直球をよけて倒れ込んだ森下はマウンドに厳しい視線を送ると、平内も険しい表情を浮かべた。2球目に再び内角高めを突かれ、上半身でのけぞると甲子園が騒然とした雰囲気に。だが、森下は冷静だった。4球目のスプリットを三遊間に叩きつけると、一塁を全速力で駆け抜けて適時内野安打に。雄叫びを上げ、ベンチも大盛り上がりだった。3戦目も4点リードの6回一死二塁で左腕・中川皓太の直球を左前にはじき返す7試合連続適時打。森下の活躍で3試合計23得点を奪い、山崎伊織グリフィン戸郷翔征と難敵の先発陣に土をつけた。

 一流と呼ばれる強打者は夏場に強い。森下は昨季6月までノーアーチだったが、7月以降に10本塁打をマークしている。今年も勝負の夏場で好調をキープできるか。球団史上初のリーグ連覇に向け、真価が問われる。

写真=BBM
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