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一時はトレード要員報道も…打棒爆発で「日本ハムに不可欠な長距離砲」は

 

価値ある一打で勝利に貢献


好調なバッティングで打線をけん引している清宮


 一過性の勢いではなく、本物か。日本ハム清宮幸太郎が絶好調だ。後半戦は13試合に出場し、48打数18安打で打率.375、4本塁打、14打点をマーク。打席内容も価値ある一打が多く、貢献度が高い。

 8月3日のソフトバンク戦(みずほPayPay)では、初回に先制の左前適時打を放つと、3点差を追いかける5回無死一、二塁で有原航平のチェンジアップを右翼席に運ぶ同点3ラン。何度もガッツポーズしてベンチを鼓舞した。この一打でチームが息を吹き返し、8対7で乱打戦を制した。続く楽天3連戦では3試合連続の先制適時打。7日の2戦目は、3打席目まで無安打と岸孝之に完璧に抑え込まれたが、0対0で迎えた8回二死一塁で、143キロ直球を完璧に捉えて6号右越え2ラン。打った瞬間に本塁打と分かる一撃が決勝打となった。前日に走塁でアウトカウントを間違えるミスを犯しただけに、必死だっただろう。信頼を取り返すにはグラウンド上のプレーで示すしかない。

 他球団のスコアラーは清宮について、こう分析する。

「まったくタイミングが合っていない打席もあるのですが、次の打席できっちり修正してくる。今まではスランプに入ると長かったですが、今年はシーズン途中から強引に引っ張りこまずセンターから逆方向を意識したスイングでコンスタントに安打が出ている。もともと選球眼が良い選手なので、ボール球に手を出さない。打つべくして打っている印象があります」

野球人生の転機


 入団以降伸び悩んでいた清宮だが、新庄剛志監督が就任した2022年に野球人生の転機を迎える。自己最多の129試合出場で打率.219、18本塁打、55打点をマーク。昨年は故障の影響で99試合出場にとどまり、打率.244、10本塁打、41打点と不完全燃焼だったが、選球眼の良さは光った。53四球はチームトップ。規定打席に未到達だったが、出塁率.344は400打席以上立った選手の中でチームトップだった。新庄監督に出塁率の高さを買われ、昨年6月18日の中日戦(バンテリン)で一番打者に起用されたこともあった。初回の第1打席で8球粘って四球を勝ち取り、先制点の本塁生還で勝利に貢献している。

チームメートの助言


以前「ホームランは正義」と語っていた清宮。価値ある一発を放っていく


 今年は自主トレ中の最終盤に左足捻挫で春季キャンプ二軍スタートに。4月19日に一軍昇格したが、打率0割台と3週間も経たずに二軍降格。清宮が守る一塁はアリエル・マルティネス、三塁は郡司裕也がスタメンで出続けていた。一部メディアに「清宮はトレード要員」と報じられることも。6月11日に再び昇格して前半戦は打率.239、3本塁打、12打点。ただ光は見えていた。前半最終戦となった7月21日のロッテ戦(ZOZOマリン)で2打席連続アーチを放つなど4安打3打点の大暴れ。清宮は週刊ベースボールの取材で、チームメートの助言があったことを明かしている。

「グワチョ(マルティネスの愛称)はロッカーが隣です。ミーティングを行うときもいつも隣。ロッカーではバッティングのこととかを話します。最近は、打ちにいくときに体と一緒にバットが付いていっているよねというような話になりました。その話をきっかけにして、打ちにいくときのバットの位置は、ちょっとだけ後ろにという意識を持つようになりました。そのイメージで練習から取り組んで、それがハマって前半戦の最後はいい結果を出すことができました。なんて表現するかはその人次第かなと思うんですけど、ちょっと割れができてきているのかなと。グワチョは結構日本語を話せますし、お手本がすごい分かりやすいです」

 2年連続最下位から3位に躍進している日本ハムはチーム内競争が激しい。一塁、三塁、指名打者の3つの枠を清宮、マルティネス、郡司、フランミル・レイエス、野村佑希が競い合っている。その中で現在の清宮はスタメンに不可欠な存在になっている。以前に本塁打についてこう語っていた。

「本当に効果的というか、一振りで流れを変えられますし、勢いも与えることができるので、やっぱりホームランは正義だなと思います」

 勝負の夏場も高い放物線を描く独特の軌道のアーチを量産し、チームを勝利へ導く。

写真=BBM
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