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自力優勝の可能性消滅の阪神…四番で高打率の佐藤輝明が「逆襲のキーマン」に

 

夏場に打率急上昇


佐藤輝が四番として阪神打線を上昇気流に乗せていきたい


 打線が活発になってきただけに、悔しい敗戦だ。阪神は8月12日の巨人戦(東京ドーム)で、0対1の零封負け。四番・佐藤輝明は3打数無安打に終わった。三塁の守備でも初回二死二塁で岡本和真の鋭い打球を逆シングルで好捕したが、一塁に悪送球。二塁走者の丸佳浩が本塁生還し、決勝点に。首位・広島DeNAに勝ったため4ゲーム差に開き、自力優勝の可能性が消滅した。

 悔しさを糧に気持ちを切り替えるしかない。守備のミスが目立つが、打撃は気温の上昇とともに調子を上げている。7月は打率.302、2本塁打、11打点。7月28日の中日戦(甲子園)から8試合連続マルチ安打と打ちまくった。8月10日の広島戦(マツダ広島)から3試合連続無安打だが、5月上旬まで1割台だった打率は.270に上昇している。

「対戦する投手によって足の上げ方を微調整することでタイミングの取り方がハマり、ボール球をきっちり見極められるようになっている。佐藤は夏場に強いのでこの打撃を持続できれば厄介です。キーマンになるのは佐藤のあとを打つ五番の大山悠輔だと思います。大山の状態が良ければ、佐藤はストライクゾーンで勝負してもらえる」(スポーツ紙デスク)

 四番・佐藤輝、五番・大山と左右の両輪がポイントゲッターの活躍をしなければ白星を積み重ねられない。佐藤輝は打撃だけでなく、走塁でも意識の高さが見える。8月8日のヤクルト戦(神宮)で同点の4回一死から四球で出塁すると、フルカウントでスタートを切った。大山の三ゴロで村上宗隆が一塁送球したのを見ると、両足を加速させて三塁へ。前進守備でヒットゾーンが広がる。前川右京の左前適時打で勝ち越しの本塁生還。バットも振れている。5回は三番・森下翔太の2点適時二塁打に続き、中前適時打。続く大山も左前適時打で今季初のクリーンアップの3者連続適時打を記録した。

簡単に一軍復帰させなかった指揮官


 リーグ連覇を狙う今季は主軸として期待されたが春先から打撃不振が続き、三塁の守備でも精彩を欠いた。5月14日の中日戦(豊橋)で拙守をきっかけに逆転負けを喫すると、翌15日に登録抹消。ファームで鋭いスイングを取り戻したが、岡田彰布監督は最短の10日で一軍に戻さなかった。

 指揮官は週刊ベースボールのコラムで、その意図をこう語っていた。

「『あの選手をいつ戻すのか?』といった声を聞く。あの選手……、佐藤(佐藤輝明)のことなんやけど、レギュラーシーズンの中で二軍に行かせた。守備のミスが原因とメディアではそうなっているが、バッティングも影響している。甘い球を逃し、ボール球に手を出す。同じことの繰り返しで、二軍で見直すことにした。すでに抹消期間は過ぎた。ここからはいつ戻ってきてもいいのだが、今回は期限を設けていない。無期限……ということで、一軍復帰には条件がつく。それは、みんなが納得する姿、形、結果を示すこと。これに尽きる」

「ある記者に問われた。『そろそろ佐藤輝を戻す考えは?』と。オレは『それはない』と答えた。交流戦がスタートする前のことやった。ビジターではDH制となる交流戦だ。守備の不安が解消されるDHに佐藤輝はぴったり、という発想なのだろうが、この時点では、すべてを納得させる状態ではないと判断した。そういう中で戻せば、どうなのか。二軍で頑張っている選手に、言葉が適切かどうかであるが、失礼ではとオレは考えている。逆に言えば、一軍に戻っても不思議でない。そういう状態に上げること。それが近い時期になるのか、そうではないのか。二軍の試合をテレビでチェックして、見極めていくことになる」

ひたむきに泥臭く


 6月7日の西武戦(甲子園)から一軍復帰。岡田監督から「起爆剤になってほしい」とゲキを飛ばされた佐藤輝に迷いはなくなっていた。結果が出なくてもひたむきに泥臭く。五、六番を打つことが多かったが、7月13日の中日戦(バンテリン)以降は四番に定着している。打順別で見ると、四番で打率.330、4本塁打、18打点。申し分ない成績を残している。

 広島、巨人との緊張感あふれる優勝争いは続く。チームを勝利に導く一打を。四番・佐藤輝の真価が問われるのはここからだ。

写真=BBM
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