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【社会人野球】U-23W杯で日本代表が3度目の優勝 野口泰司が主将として心掛けたこと

 

人生初の大役


侍ジャパンU-23を束ねた野口主将は金メダルを手にした[写真=BBM]


 第5回WBSC U-23ワールドカップで2大会連続3度目の優勝を遂げた侍ジャパンU-23代表が9月17日、中国から帰国した。当初は前日の予定だったが、台風の影響により、チーム移動便が欠航。現地で1日、足止めとなりこの日、成田空港に帰国している。

 山中正竹団長(全日本野球協会会長)、侍ジャパン社会人代表・川口朋保監督以下コーチ陣と、選手24人による記念撮影の後、報道各社の取材に応じた。今大会、川口監督が主将に指名したのは名城大から入社2年目のNTT東日本・野口泰司捕手である。金メダルを首にかけて「世界一」の喜びを語った。

「チームが一つになれて、(プエルトリコとのオープニングランドの)初戦で負けましたが、(その後は8連勝で)チームとして動けたのが優勝につながった。ホッとしています」

 人生初の主将が、侍ジャパンの大役だった。川口監督は選考合宿、直前合宿での所作を見て、野口にキャプテンを託すこと腹に決めた。

「核になるのは、野口泰司。行動が他の選手に与える影響が大きいと肌で感じました。このチームを作るのに、野口中心で回していこうという思いが、私の中で芽生えた。だから、大会を通じて、四番を変えませんでした」

 社会人24選手を結集させた野口は言う。

「キャプテンになっても、あまり変わらないのが強み。コミュニケーションの取りやすさがあったかもしれません。自分が! 自分が! というのはなく、とにかくチャレンジしていこうと。年齢も近い世代の集まり。直前合宿の段階から上下関係を作らず、フランクに話そう!! と言いました。チームとしての関係性を、深く築けました。年下の選手にも、伸び伸びとやらせる。自由に若さを前面に生かしていく。積極的なプレーをやらせていました。コミュニケーション力でチームが一つになれた。攻撃の戦術としては低めの変化球を振らず、初球から高めのボールをフルスイングする。チーム(の約束事)として戦い、個人の実力を発揮する。川口監督のさい配から、そこで勝つすごみを感じました」

 世界一の意義と、伝承についてこう語る。

「社会人野球というカテゴリーの中で、今回の経験を各会社に持ち帰り、チームに浸透させ、より一層、盛り上げていければいいです」

 野口は「打てる捕手」として、2024年のドラフト候補にも挙がる。名城大4年時はプロ志望届を提出も、指名漏れに終わっている。

「プロに行って活躍することが、ゴールにある。その前に社会人野球の面白さ、すごさ、良さに気づいた。プロにつなげていきたい」

 社会人野球の「良さ」とは何か。野口は一言で「個人プレーではない」と即答した。日本の野球の伝統である、一人ひとりが役割をまっとうし、組織力で立ち向かう大切さをあらためて学んだ、10日間で9試合だった。

文=岡本朋祐
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