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将来のエース候補も3勝止まり…高橋宏斗と重なる「巨人のドラ1右腕」は

 

「もっとできる」期待


プロ5年目を迎えた堀田。さらなる飛躍が期待される


 首位の巨人が9月18日のDeNA戦(東京ドーム)で延長12回の末に2対2の引き分け。2位・阪神中日に勝ったため1.5ゲーム差に接近してきたが、リーグ優勝に向けてマジック9が点灯した。

 好位置につけている要因は投手陣の踏ん張りが大きい。先発は戸郷翔征山崎伊織菅野智之グリフィンの強固な4本柱に、今季7勝をマークしている井上温大も一本立ち。6枚目がなかなか固定できなかったが、開幕から白星がなかった赤星優志が9月16日の中日戦(東京ドーム)で6回1失点と好投を見せ、今季初白星をマークした。

 チームの将来を考えると井上、赤星と共に台頭してもらわなければ困る投手が、プロ5年目の堀田賢慎だ。救援要員で開幕を迎え、5月から先発に配置転換。2連勝と幸先良いスタートを切ったが、その後は白星から遠ざかり、6月12日の楽天戦(楽天モバイル)で3回持たず8安打5失点KO。登録抹消され、ファームで3カ月間過ごした。優勝争いを繰り広げるチームの戦力になりたい。9月14日に救援で再び一軍に昇格すると、同日のヤクルト戦(東京ドーム)で2回無安打無失点の好投。16日の中日戦(東京ドーム)も1回無失点ときっちり抑えた。15試合登板で3勝3敗、防御率2.53。決して悪い成績ではないが、堀田のスケールの大きさを考えれば「もっとできる」と期待したくなる。

指揮官は「不思議なピッチャー」


 堀田は山崎伊とは同じ時期にトミー・ジョン手術のリハビリに励み、はい上がった。青森山田高で151キロを計測した直球は手術後に155キロを計測。昨年10月の秋季教育リーグでは157キロと自己最速を更新した。ただ、その後は直球が140キロ台に落ちるなど安定しない。今年も先発ローテーションで好投していた時期は140キロ台の直球と変化球のコンビネーションで抑えていた。阿部慎之助監督は「打てそうで打てない、不思議なピッチャー」と形容していたが、他球団のスコアラーも同じ見方を示す。

「見るたびに違う姿を見せる投手でつかみどころがない。直球が遅くなったけどフォームのバランスを崩したわけでなく、投げっぷりがいい。ただ魅力は剛速球だと思います。映像で見た試合では150キロ以上のすごい球を投げ込んでいた。イメージは高橋宏斗(中日)に近いですかね」

口にしていた直球へのこだわり


 堀田は同じ岩手県出身で大谷翔平(ドジャース)、菊池雄星(アストロズ)に憧れていた。入団1年目の2020年2月に週刊ベースボールのインタビューで、「すごく影響を受けましたし、今も刺激になっています。小学生のときに、自分の所属していた少年野球チーム(松園ファイターズ)は、花巻東高のすぐ隣のグラウンドで練習をしていて、チームが主催する大会をするときには、花巻東高の野球部の部員が補助員とか、審判をしてくれていたんです。そのときに大谷さんがいたかどうかは分からないんですが、身近に感じていました」と明かし、直球へのこだわりを口にしている。

「真っすぐで押していって、その中で、タイミングが合ってきたな、とらえられてきたな、と試合の中で感じたときに、変化球を交えてかわしたり、意識づけできるタイプだと思っています。スピードでは全然及ばないですが、ただ、強くて速い真っすぐをメーンにする、というところでは2人を意識してきました」

「やっぱり、僕の持ち味は“真っすぐ”。高校のときも“真っすぐ”を強く意識して追い求めてきたので、プロでも同じように“真っすぐ”で勝負できるピッチャーになっていきたいです」

 V奪回に向けてヒリヒリした試合が続く中、救援でマウンドに上がる時は大きな重圧が掛かる。だが、この経験も大きな糧になるだろう。先発だけでなく、救援の踏ん張りも重要なポイントになる。残り11試合。極限の状態で右腕の可能性が引き出されるか。

写真=BBM
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