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球界屈指の身体能力も6試合出場のみ…復活待たれる「巨人のFA戦士」は

 

開幕戦で攻守に大活躍


開幕戦で1号2ランを放ち勝利に貢献していた梶谷


 首位の巨人が9月19日のDeNA戦(東京ドーム)で6対0と完封勝利を飾り、優勝マジックを8に減らした。2位・阪神に2ゲーム差とまだまだ優勝争いの行方は分からない中で、一軍の舞台を目指してファームで汗を流している選手がいる。今季6試合の出場にとどまっている36歳のベテラン・梶谷隆幸だ。

 阿部慎之助監督就任1年目の開幕戦。昨年の覇者・阪神との対戦でチームを勢いづけたのが梶谷だった。「三番・右翼」でスタメン出場すると、3回一死一、二塁のピンチで三番・森下翔太の右中間を抜けようかという打球をダイビングキャッチ。すぐに立ち上がると返球し、一塁に戻れなかった中野拓夢もアウトで併殺に。ビッグプレーでチームを救うと、バットでも貢献した。1点リードの5回二死二塁で1号右越え2ラン。開幕直前に新外国人のルーグネッド・オドーアが帰国するという想定外の事態で戦力構想の変更を余儀なくされる中、梶谷の大活躍で開幕を白星発進した。

ネックになった度重なるケガ


 打って、走って、守って。球界屈指の身体能力は誰もが認めるが、ネックになったのは度重なる故障だった。DeNAから巨人へFA以降、2021年は左太もも裏の違和感、死球による右手甲骨折で離脱し、61試合出場で打率.282、4本塁打、23打点。10月に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けると、翌22年は3月に左膝痛を発症。5月に左膝内側半月板の縫合手術を受けて一軍出場なしに終わった。

 育成契約から再スタートした昨年は開幕前に支配下昇格すると、102試合出場で打率.275、2本塁打、19打点をマーク。4年契約最終年の4年目となる今季は真価が問われた。開幕戦で最高のスタートを切ったが、再び試練に襲われる。4月3日に古傷の左膝に違和感を覚えて登録抹消に。1カ月後に一軍に復帰したが患部の状態が芳しくない。わずか4日後に左膝痛を再発してグラウンドを離れることになった。

 約3カ月のリハビリ期間を経て、8月17日のイースタン・DeNA戦(横須賀)で実戦復帰したが、まだまだ万全のコンディションには程遠い。指名打者で出場し、外野の守備にはついていない。思い描く自分のプレースタイルと現状のギャップに葛藤を感じているだろう。だが、焦りを抑えて一歩一歩前に進むしかない。

大きな覚悟を持って移籍を決断


 DeNAの主力選手として活躍していた梶谷は大きな覚悟を持って、巨人へのFA移籍を決断した。週刊ベースボールのインタビューで当時の心境を振り返っている。

「もちろん、野球人生の中で一番悩みました。ベイスターズは大好きなチームですし、ここまで成長できたのもベイスターズのおかげ。感謝しかありません。ただ、いろいろと考える時間をもらって、残留したとしても、移籍したとしても、結局、やるのは野球で、その環境の中で自分が結果を残すしかない、と。これがまずベースの考えとしてあって、チームが変わる、環境が変わるということは、イコール『成長できるチャンスだ』と思うようになりました」

「長く在籍しましたから、やはり、DeNAは居心地がとてもいいんです。でも、居心地がいいまま終わっていいのか。環境を変えることで、しびれるような刺激を受けて、自分はもっとうまくなれるんじゃないか、と。移籍は不安も伴うし、当然、期待される分、結果も求められます。自分も人間なので考えれば考えるほど、マイナス要素が出てくるんですが、『それも楽しいのかな』と思って、最終的にジャイアンツへの移籍を決めました」

「ありがたいことに、『来てほしい』という球団の思いが、自分の解釈の中ですけど、すごく伝わってきましたし、原(原辰徳)監督の思いも響くものがありました。心が動きましたし、その思いに応えたいと素直に思いました」

 スケールの大きいプレーはファンを魅了する力がある。一軍の舞台で再び輝く姿を、ファンは待ち望んでいる。

写真=BBM
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