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【大学野球】「僕がこけたら、チームもこける」 エースの誇りを胸にマウンドに立つ法大・篠木健太郎

 

開幕カード初戦で8回2失点


法大・篠木は8回2失点。本調子ではないながらも、しっかりとゲームメークした[写真=矢野寿明]


【9月21日】東京六大学リーグ戦
法大2-2立大(1分)

 エースは言い訳ができない。調子が悪くても、マウンドに上がる以上、逃げ場はない。法大のエース番号「18」を着ける篠木健太郎(4年・木更津総合高)は「いつ最後になるか分からない。悔いのないように」と、チームの勝利のためだけに腕を振っている。

「1年生のときの(主将)銀二さん(DeNA三浦銀二)、山下さん(ヤクルト山下輝)へのあこがれから、大学生活が始まっている。僕がこけたら、チームもこける」

 当時の4年生の背中を見て、主戦投手としての役割を学んできた。篠木は今秋の開幕カードとなった立大1回戦で先発。初回に2点の援護をもらったが、3、4回に2本のソロ本塁打を浴び、同点に追いつかれた。しかし、以降は走者を背負いながらも、ゼロを並べた。8回2失点の力投。試合は2対2のまま決着がつかず、連盟規定(プロ併用日)により引き分けに終わった。

「試合に出ている人、出ていない人、スタンドで応援している部員、すべてに(法政大学の野球部員として活動する上での)責任がある。出ている選手には、覚悟が必要になる」

 法大は2020年春を最後にリーグ優勝から遠ざかる。21年4月に入学した篠木は、神宮で天皇杯を手にしたことがない。今夏、貴重な場を踏んだ。

「大学日本代表で、二つの国際大会(チェコ、オランダ)で優勝することができました。勝つことを経験できたのは、自分と松下(松下歩叶、3年・桐蔭学園高)。還元しないといけない。松下とは、そういう話をしてきました。口に出すことによって、やらないといけないというさらに、大きな責任が芽生える」

 努力を重ね、練習の成果を発揮し、勝利の喜びという財産を、チームに残す。これが、篠木の4年秋のテーマである。

 人生の岐路、10月24日にはドラフト会議を控えるが、自身のことは後回し。

「法政大学のユニフォームを切るラストシーズン。勝ちにこだわる」

 4年間、育ててもらったチームのために全力を尽くす。マウンド上の篠木には、気迫以上の感情は存在しない。背番号18。その生きざまがすべて、後輩へのメッセージとなる。

文=岡本朋祐
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