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宗山塁を獲得する必要はない? DeNAで覚醒期待される「ドラ1遊撃手」は

 

CS進出のキーマン


9月にバッティングの状態が上がっている森


 負けられない戦いが続くのは首位・巨人、2位・阪神だけではない。3位のDeNAもCS進出に向けて勝ち続ける。9月25日の巨人戦(横浜)では1対0で完封勝利。先発の アンドレ・ジャクソンが6回2安打無失点の快投を見せると、7回以降は伊勢大夢、 ローワン・ウィック、森原康平の継投策で逃げ切った。4位・広島ヤクルトに敗れたため1.5ゲーム差に。CS進出に向けて一歩近づいた。

 DeNAは今季リーグトップの496得点をたたき出している。今季急成長の梶原昂希が一番に定着し、牧秀悟佐野恵太タイラー・オースティン宮崎敏郎と中軸に強打者が並ぶ。108試合出場で打率.291、5本塁打、37打点の好成績を残していた正捕手の山本祐大が右尺骨骨折で今季絶望となったのは痛手だが、戸柱恭孝伊藤光の両ベテランが奮闘している。そして、この男も調子を上げて、下位打線の核になっている。プロ5年目の森敬斗だ。

 今季は開幕をファームで迎え、5月10日に一軍昇格。8月2日にファーム再調整となったが、9月7日に再昇格して月間打率.394、出塁率.459と「八番・遊撃」でチャンスメークしている。16日の広島戦(横浜)で内野安打2本を含む4安打を放つと、22日のヤクルト戦(横浜)でも猛打賞と敬遠で全4打席出塁。昨年38年ぶりの日本一に輝いた阪神で、木浪聖也が「八番・遊撃」で恐怖の八番打者として機能したことが記憶に新しい。下位打線でチャンスをつくり、一番の近本光司が還す切れ目のない打線が実現したように、DeNAも森の出塁率が上がったことで、得点力が上がっている。

「少し振りすぎる傾向があったが、9月に昇格以降はスイングがコンパクトかつ鋭くなっている。俊足なので叩きつけた打球が内野安打になる可能性が高い。甘く入れば外野の頭を越えるパンチ力がありますし、自分の目指す打撃スタイルに迷いがなくなったように感じます。塁に出すと俊足なのでバッテリーは神経を使う。遊撃の守備能力も高いのでこのまま突き抜ける存在になる可能性は十分にあります。CS進出のキーマンであることは間違いない」(スポーツ紙記者)

 筒香嘉智以来となる球団史上10年ぶりの高卒野手でドラフト1位指名されたのが、5年前。同期のドラフト1位はU-18侍ジャパン代表でチームメートだった佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、石川昂弥(中日)、宮城大弥(オリックス)のほか、大学No1右腕・森下暢仁(広島)と豪華な顔ぶれが並ぶ中、DeNAが単独指名した選手が森だった。スピード感あふれるプレーと強肩でミート能力も高い。3拍子そろった遊撃として将来を嘱望されたが、その道のりは順調ではなかった。

20代前半の遊撃手が続々と台頭


 高卒1年目から1軍デビューし、2年目は44試合、3年目は61試合出場したが、チャンスをつかんだというより、与えられたという表現が合うだろう。高い身体能力を生かして攻守で目を見張るプレーを見せる半面、状況判断を誤ったプレーや勝負所で手痛いミスが目立ち、首脳陣の信頼をなかなか得られなかった。昨年は左鼻骨骨折、右手有鈎骨骨折など度重なる故障の影響もあり9試合出場のみと大幅に減少。未来への投資の意味合いから期待を込めて起用される時期はいつまでも続かない。昨秋のドラフトでは、遊撃を主戦とする石上泰輝が入団。同学年の大卒ルーキーが入団したことで、危機感が芽生えたことは間違いない。

 今秋のドラフトでは、即戦力の遊撃で宗山塁(明大)が注目されている。攻守で高い能力を持ち、プロ1年目から遊撃のレギュラーとして活躍が期待される。1位指名で複数球団の競合になる可能性が高いが、森は能力の高さで決して見劣りしない。残り試合が少なくなってきたが好調のパフォーマンスを維持できれば、宗山を1位指名する必要はないだろう。

 他球団を見渡すと、門脇誠(巨人)、長岡秀樹(ヤクルト)、村松開人(中日)、紅林弘太郎(オリックス)と20代前半の遊撃手が次々に台頭している。森も負けられない。球界を代表する遊撃に上り詰めるために、駆け抜ける。

写真=BBM
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