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巨人のリーグ制覇に大きく貢献 菅野智之が衝撃受けた「同学年の強打者」は

 

チームを救う殊勲打


昨年の不調から復活した打撃を見せた丸


 歓喜の胴上げで10度宙に舞った阿部慎之助監督の目から涙がこぼれた。巨人が9月28日の広島戦(マツダ広島)で8対1と快勝し、4年ぶりのリーグ制覇を飾った。

 先発の菅野智之が8回6安打1失点の好投。この右腕の活躍なくしてV奪回は成し遂げられなかった。今季は24試合登板で15勝3敗、防御率1.67。昨季は14試合登板で4勝8敗、防御率3.36とプロ入り自己ワーストの成績に終わり、「限界説」もささやかれたが、見事に覆した。完全復活で今季のMVP最有力候補だろう。菅野が登板した今季全試合でバッテリーを組んだ小林誠司の貢献度も高い。

 打線を引っ張ったのは菅野、小林と同学年の丸佳浩だ。チームの中心選手である坂本勇人が打撃不振でファーム降格を経験した中、丸の存在は大きかった。昨季は121試合出場で打率.244、18本塁打、47打点。故障の影響もあり11年ぶりに規定打席に到達できず、今季の開幕前は外野の定位置を確約されていなかった。だが、菅野と同様に実力で存在価値を証明した。4月の下旬から一番で固定され、一時は首位打者争いに絡んだ。8月以降に打率を落としたが、チームを救う殊勲打が光る。8月7日の広島戦(東京ドーム)では、1点ビハインドの8回二死二塁で、塹江敦哉のカットボール右中間に運ぶ同点二塁打。苦しい展開で引き分けに持ち込んだ。

「内に秘めた闘志は熱い」


4年ぶりのリーグ優勝を果たし、胴上げされた阿部監督


 初回に先頭打者で出塁すれば、打線が勢いづく。丸は先頭打者の初回で今季打率.355、3本塁打をマーク。相手バッテリーとすれば、初回から長打とミート能力を併せ持つ強打者といきなり対戦することは神経を使うだろう。負ければ2位・阪神が1ゲーム差に接近する9月26日のDeNA戦(横浜)でも、打線の起爆剤になった。初回に相手左腕・ケイのカットボールを振り抜き、左翼に二塁打を放ち3点先制の呼び水に。2回も一死から左越二塁打でチャンスメークし、後続がつながって3点を追加した。3回の打席で左手に死球を受けてヒヤリとさせたが、その後もフル出場。チームは18安打12得点で快勝した。

 広島時代から丸を取材するスポーツ紙記者は、「マイペースな性格で図太い。自分の世界を持っていて、結果が出なくても気持ちの切り替えが早いです。チームを引っ張るタイプではないけど、内に秘めた闘志は熱い部分があります」と評する。

対戦相手として見た丸


 リーグ優勝の立役者となった菅野と丸は2019年1月に週刊ベースボールで対談している。丸は前年に広島でリーグ3連覇を達成。同年オフに巨人にFA移籍した。菅野は対戦相手として見た丸について、こう語っていた。

「僕もキャリアを重ねて、マウンドでは、『こういうときにこういうボールを投げてみたらどうかな?』とか考えながら丸に対しても投げているんだけど、18年(打率.313)は衝撃的な打席がいくつかあったんだよ。例えば7月6日の東京ドームでの広島戦。この試合は完封ペースで丸も2三振に抑えていたんだけど、8回二死走者なしの第4打席。ベンチでは阿部(阿部慎之助)さんともいろいろ配球について話していて、良い機会だったから、初球、ゾーン内にフォークを投げてみたんだよ。そうしたら、カーンとレフト前にヒットを打たれて」

「これはビックリした。初球のフォークを打つんだ、と。意表もついているし、絶対に予想しない球。それを甘く入ったからといって反応して打っちゃうんだから、これは恐いバッターだなと。あと、8月11日のマツダでの試合。0対1で負けていて、6回先頭で丸。3ボール1ストライクから外にツーシームを投げたら……」

「あれもね……。この試合も前の打席まで四球と三振。まあ、抑えていたわけよ。それも良い感じで、フォークで空振り三振。打たれたツーシームも外低め、狙ったところだよ。それをあそこまで持っていくか、と。マウンドで何度も首をかしげたよ」

 巨人に移籍後は順風満帆だったわけではない。だが、何度も逆境を乗り越えてきた。まだ戦いは続く。短期決戦でも頼りになるキーマンだ。

写真=BBM
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