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宗山塁、金丸夢斗、西川史礁…ドラフト巧者・巨人の1位指名は?

 

それぞれにある魅力


即戦力の遊撃手として注目される宗山


 10月24日にドラフト会議が開催される。ドラフト1位候補として、争奪戦になる可能性が高いのが宗山塁(明大)、金丸夢斗(関西大)、西川史礁(青山学院大)、中村優斗(愛知工業大)の4選手だ。

 それぞれ魅力があるだけに、各球団はどの選手を指名するか悩ましいだろう。宗山は遊撃の守備能力が非常に高く、打撃もバットコントロールに長けてツボに入ればスタンドに運ぶ長打力もある。プレーヤーのスタイルとしては鳥谷敬(元阪神ロッテ)に近く、「10年に1人の遊撃手」と形容される逸材だ。金丸は最速154キロの直球、スプリット、スライダー、カーブとすべての球種が一級品で、1年目から先発の即戦力として期待できる。今年3月にNPBの若手成長株と共に侍ジャパンに選出され、欧州選抜との強化試合で先発した時は2回無安打4奪三振の無失点。完成度の高さを強く印象付けた。

 同じく侍ジャパンに選出されて強いインパクトを与えたのが、最速159キロ右腕の中村だ。直球は常時150キロを計測し、スライダー、フォークとのコンビネーションで三振奪取能力が高い。抜群の制球力も魅力で先発、救援と起用法の幅が広い。西川は右の長距離砲で希少価値がある。球を遠くへ飛ばす能力はアマチュアNo.1だろう。打撃に柔らかさがあるため変化球への対応能力が高い。外野の守備も強肩を武器に中堅で守備範囲が広い。長打を打てる選手を補強ポイントにする球団は多いだけに、複数球団が1位指名する可能性が十分にある。

1位指名の予想が難しい巨人


先発左腕としての評価が高い金丸


 補強ポイントと照らし合わせながら、1位指名の選手を占うことになるが、今季4年ぶりのV奪回を飾った巨人は予測が難しい。過去5年間のドラフトで指名した選手を見ると、井上温大山崎伊織大勢浅野翔吾門脇誠船迫大雅が今季のリーグ優勝に貢献。「ドラフト巧者」で知られる。現在の戦力を見ると、先発左腕は補強の優先順位が高いように感じる。今季は井上が自己最多の8勝をマークし、横川凱がシーズン終盤に先発、救援で好投を続けたが、先発の軸となる左腕が少ない。金丸を獲得できれば、先発陣の層がさらに厚くなる。

 一方で宗山も魅力的な選手だ。遊撃手はプロ2年目の門脇誠がレギュラーとして期待されたが、今季129試合出場で打率.243、0本塁打、21打点。プロの世界で活躍し続ける難しさを痛感しただろう。門脇は二塁、三塁も守れるため、将来を見据えて宗山を遊撃、門脇を三塁に据えるプランも考えられる。実力だけでなく甘いマスクで華やかな雰囲気は、球界を代表する遊撃として活躍した坂本勇人と重なる。新たなスター選手として人気を集めることは間違いない。

 岡本和真が将来的にメジャー挑戦する可能性があることから長距離砲も欲しい。外野は浅野、萩尾匡也秋広優人と将来を嘱望される選手がそろっている中、西川の力をどう評価するか。

スカウト部長が大事にしていること


 巨人の水野雄仁スカウト部長は、2022年6月に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「いい選手を見ると言っても、何を見るのか、どこを見るのかも正解はないと思います。塁間を走るタイムや、スピードガンの数値といった数字は大切ですが、それだけでは測れない部分も見極めていかなければならないからこそ、スカウトの仕事というのは奥が深い。私が見るのはユニフォームの着こなしや、何気なく走っている姿ですね。そうしたところに選手の性格や人間性が表れるので、大事にしています」

「私自身もかつてはドラフト1位で指名されてプロの世界に飛び込みました。ドラフト1位のプレッシャーはもちろんありましたが、それでも何とか一軍でそれなりに活躍することはできた。でも、そうではない選手もいる。私はスカウトの仕事を始めてからまだ日が浅いですが、20年、30年とスカウトをやられている方たちは、一軍に上がることなく消えていった選手たちもたくさん担当してきたはずですし、ツラい思いもしてきたはずです。担当した選手を球団が指名すれば、スカウトは半ば親のようなものですから。だからこそ、担当した選手の活躍が大きな喜びになるのだと思います」

 21年に行われたドラフトで1位で隅田知一郎(西武)の当たりクジを引き当てず、「外れ1位」で指名した大勢が1年目から守護神で大活躍したケースがあり、運命はどう転ぶか分からない。今年のドラフトはどんなドラマが待ち受けているだろうか。

写真=BBM
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