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【首都大学リポート】今季2勝目を挙げた筑波大1年生右腕・友廣陸 長身から投げ下ろす角度あるボールが武器

 

この夏にフォーム修正


筑波大の1年生右腕・友廣はマウンド経験豊富である[写真=大平明]


【10月5日】首都大学一部リーグ戦
筑波大2-1城西大
(筑波大1勝)

 首都大学リーグ第5週1日目。勝ち点1の3位タイに位置し、上位進出のためにはなんとしても初戦を取りたい筑波大。城西大との1回戦では先発マウンドを友廣陸(1年・北陸高)に託した。

 川村卓監督は「もともとコントロールが良いピッチャーで、変化球がしっかりとコーナーに決まるようになりました。安定感があり、1年生ですが今季は彼頼りになっています」と話しているように、すでに指揮官の信頼を得ている。第3週からは1回戦の先発を任されており、友廣は「1戦目はチームの勢いをつける試合なので気合が入ります。1年目から貴重な経験をさせてもらって感謝していますし、緊張感があるなかで好きな野球をすることができて、とても楽しいです」と初々しい笑顔を見せている。

 実績は十分である。昨年は北陸高で甲子園に春夏連続出場。どちらも初戦で敗退したが「甲子園での悔しさがあるからこそ、今、こうやってリーグ戦で先発できていると思いますし、あの時以上の緊張はないと思うので余裕を持って投げることができています」と振り返る。

 友廣の一番の武器は181センチの長身から投げ下ろす角度のあるボールだ。「身長が高くなった中学3年生の頃から今のフォームにしました。上からたたくイメージで、上手くたたけた時は低めに強い球が投げられています」。制球力については「球が速いわけではないのでコントロールは高校生の時からずっと大切にしています」と自信を持っている。

「野球の研究ができるので、プロへ行くのに一番、近い大学だと思って進学しました」という筑波大入学以降も「ブルペンや実戦で投げ込んで、もう一段階上のレベルを目指してきました」とコントロールを磨くことには余念がない。

 この夏はフォームを修正。

「球速を求めすぎて体が開いてしまっていたので、コーチから『時間を長く使って投げたらどうか』と勧められ、小さく二段モーションにして投げるようにしました。最初は上手くいかなかったのですが、バッターの打撃練習の時に積極的にマウンドに上がらせてもらい、打者の反応を見ながら投げていくことでやっと納得がいくボールが投げられるようになりました」

 変化球はカーブ、スライダー。そして、武器のチェンジアップに加え、カットボールやツーシームも投げるようになった。

「高校の頃は大きな変化球しかなかったのですが、大学に入ってからは小さな変化球を先輩に教えてもらって習得してきました。特に、カットボールについては国本航河さん(3年・名古屋高)に『真っすぐよりも腕を振って投げろ』とアドバイスしてもらっています」

先発として試合をつくる


 今春にリーグ戦デビューを果たすと、この秋は第2週の日体大2回戦で8回を2失点に抑え、初勝利。その後も安定した投球を続け「秋になってからは相手チームに対策をされているので、毎試合、配球を変えるようにしています」と、第4週の帝京大1回戦では90キロ台のカーブを多投。「思っていたよりも遅く、体が突っ込んでしまった」(唐澤良一・帝京大監督)と対戦相手の監督に言わしめて、8回途中まで3失点の好投を見せた。

 この日の城西大1回戦もストライク先行の快調なピッチングで、「前半は自分のボールが投げられて三振も取れました」と130キロ台ながらもコーナーに決まる伸びのあるストレートやワンバウンドのチェンジアップを振らせて4回までに7奪三振。6回を投げ終えたところでマウンドを降りたものの2安打1失点9奪三振と先発の役割を果たした。

 7回からは抑えの一井日向汰(4年・武蔵野北高)が得点を許さず、松永陽登(2年・日大三島高)の本塁打と川上拓巳(3年・旭川実高)の好走塁で挙げた2点を守り切って2対1。ロースコアの接戦を制して城西大に先勝した。

 今季2勝目を挙げた友廣は「後半は少し疲れが出てしまったのですが、守りに助けられました」とバックに感謝の言葉を述べ、川村監督も「よく粘って投げてくれました」とルーキーの勝ち星に目を細めた。

 シーズンは終盤に向かうが「負けられない試合が続くので一戦必勝でやっていきたい。先発として試合をつくるのが大事だと考えているので、自分よりもチームのために投げていきたい」と友廣。上位3校が進出できる関東大会出場と入れ替え戦の回避を目指し、中位の混戦から抜け出しを狙う。

文=大平明
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