週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】広島が1位指名を公表した明大・宗山塁 ドラフト史を塗り替えるだけの魅力

 

次の1勝、次の勝ち点を目指して


明大・宗山は立大1回戦で2安打2打点。写真は1回裏の先制適時打[写真=矢野寿明]


【10月12日】東京六大学リーグ戦第5週
立大5-4明大(立大1勝)

 2024年ドラフトがついに、本格的に動き出した。広島が10月11日のスカウト会議を経て、明大・宗山塁(4年・広陵高)の1位入札を公表。12球団最速での指名公言だった。

 一夜が明け、宗山は立大1回戦に臨んだ。明大は東大、慶大から勝ち点2を挙げており、4勝1分け。首位・早大は開幕から3カード連続で勝ち点を奪取しており、次週の直接対決に向けては、絶対に落とせないカードである。

 初回は中前への先制適時打。2点ビハインドの6回裏は一死満塁から右前タイムリーを放ち、1点差とした。このまま追いつくことはできず、立大に先勝を許した。試合後、主将・宗山は三番打者としての責任を口にした。

「打点のつくヒットを求めていきたいところで、満塁でのシングルだったので……。もっと一気に同点、逆転につながればベスト。反省点として生かしていきたい。まだまだ改善の余地がある。チームが勝つための活躍が求められている。勝負どころで結果を残せるか」

 立大から勝ち点を奪取するためには、2回戦から連勝しなくてはいけない。3回戦に及ぶ「消耗戦」は、明大が最も得意としてきた戦い方である。明大・田中武宏監督は言う。

「ここから粘って、勝ち点を取ってきたのが、彼らの先輩たちなので……。やってくれる」

 宗山は2学年上の主将・村松開人(中日)の下で2年時に春秋連覇、昨春は主将・上田希由翔(ロッテ)の下で、前年秋からのリーグ3連覇を経験している。「1敗してから取り返す力がないと。そこを乗り越えないと、優勝は難しくなります。次の1勝、次の勝ち点を目指してやっていく」。キャプテンナンバーを着ける背番号10は前を向いた。

ドラフトが近づくことを日々実感


 昨春以来の天皇杯奪還を目指しながらも、運命のドラフト会議は、10月24日に控える。

「1日ずつ近づいてきているな、というのは日々感じていますし、それでも自分のやることは変えずに、その日を迎えられたなと思います」

 宗山は広島県三次市出身。三良坂小6年時(2014年)には広島東洋カープジュニアのメンバーとしてNPB12球団ジュニアトーナメントに出場した。地元である広島からの1位指名公言について、宗山は「高い評価をしていただいたことは非常にうれしいですし、それに見合うような結果だったり、チームを引っ張っていく姿勢を、まずはリーグ戦で見せることができたら」と冷静に語った。

広島が10月11日に明大・宗山の1位指名を公言。この日は苑田スカウト部顧問[右]と尾形スカウト[左]が神宮で視察した[写真=矢野寿明]


 この日は広島・苑田聡彦スカウト部顧問と、明大担当である尾形佳紀スカウトが、神宮のネット裏で視察した。複数球団による1位入札は、ほぼ確実な情勢である。苑田スカウト部顧問は「会社には昨年からずっと(1位入札と)言っていました。(抽選は)こればかりは、どうなるか分からない。クジで当たった球団は、故障も少ないですし、10〜15年はショートを守れる。白い鉢巻をして、近くの神社に、お祈りに行こうかと思います」と、真剣な表情で話した。

「20年に一人の遊撃手」をめぐり、2024年は年明け早々から「宗山ドラフト」と言われてきた。1位競合の過去最多は1989年の新日鉄堺・野茂英雄、1990年の亜大・小池秀郎の8球団。野手の最多は95年のPL学園高・福留孝介、2017年の早実・清宮幸太郎の7球団。大学生野手では79年の早大・岡田彰布の6球団が最多だ。宗山には、ドラフト史を塗り替えるだけの魅力が詰まっている。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング