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今季は出場機会減少も…FAで他球団の評価高い「巨人の司令塔」は

 

選手会長として


昨年より成績を落としたが大城がチームに欠かせない存在だったのは変わりない


 本職のポジションで輝いた。今季チーム最終戦となった10月2日のDeNA戦(東京ドーム)。大城卓三が先発マスクをかぶった。マウンドに立った先発投手は山崎伊織。4年ぶりのV奪回を飾ったが、この試合はバッテリーにとって重要な試合だった。

 山崎伊は前半戦い安定した投球を続けていたが、夏場以降に痛打を浴びる場面が目立った。8月27日のヤクルト戦(神宮)で9勝目を挙げて以来白星から遠ざかり、ファームで再調整した。阿部慎之助監督がシーズン最後の試合を託したのは、今後の戦いに向けて復調してほしいというメッセージだろう。大城が好リードで引っ張り、6回1/3を5安打2失点の粘投。2年連続2ケタ勝利をマークした。

 試合後の優勝セレモニーで、大城は選手会長としてインタビューに応じ、「どんなときでもみんなが下を向かずにやってくれたので、とてもいいチームだったなと思います」、「若手からベテランまで本当に、あの……みんなが、自分がやるべきことをしっかりやってくれた結果がすごいチーム力になったかなと思っています」と言葉に力を込めた。

試練のシーズンを乗り越えて


 不動の正捕手として活躍してきた。昨年は134試合出場で打率.281、16本塁打、55打点をマーク。プロ入り初の規定打席に到達し、打撃3部門で自己最高の数字を残した。小技もきっちり決めて23犠打はリーグ最多。捕手でリーグ2位の盗塁阻止率.373を記録し、自身2度目のベストナインに輝いた。

 攻守で十分な活躍を見せたが、捕手はチームの成績で評価されるポジションだ。2年連続Bクラスに低迷し、心から喜べなかっただろう。原辰徳前監督が昨季限りで退任し、阿部監督が就任した今季は捕手の起用法に変化が生まれた。現役時代に球史に残る名捕手として活躍した指揮官は、配球面や投手への声掛けなどを大切にする。その結果、岸田行倫がチーム最多の72試合で先発マスクをかぶった。小林誠司が36試合、大城は34試合だった。

 大城個人としては試練のシーズンだった。攻守に精彩を欠き、5月8日に登録抹消。ファームで約3週間汗を流した。同月31日に再昇格すると、強打を生かして一塁で出場機会が増えた。不慣れな守備に苦心した部分はあったが、不動の四番・岡本和真の後を打つ五番に定着してポイントゲッターに。96試合出場で打率.254、3本塁打、27打点。昨年に比べると成績を落としたが、数字以上にチームへの貢献度は高かった。

 捕手で出場機会が減少したが岸田、小林と「捕手3人制」で得られるものは大きかった。リーグ優勝を飾り、週刊ベースボールの対談で岸田、小林についてこう語っていた。

「ゲームの組み立て方とか、いいときも悪いときもありますし、『こういうときはどうですか』とか、『どうしたらよかったですか』とか、いろいろ聞かせてもらいました。3人ともキャッチャーならではの“痛み”というものも分かっているので、その辺は共有しながらやらせてもらいましたし、試合の中でも聞きに行ったりしてたので、やっぱり(小林は)すごく頼りになる存在でしたね」

短期決戦に向けて


 一足早い話だが、今季中にFA権を取得した。スポーツ紙記者は、「今季は捕手での出場機会を大幅に減らしましたが、他球団からの評価は高い。権利を行使することになれば複数の球団が獲得を検討することになるでしょう。もちろん巨人にとっても必要な選手です。今年の働きぶりは評価していますし、慰留に力を注ぐでしょう」と語る。

 まだ戦いは続く。10月16日から東京ドームで開催されるCSファイナルステージで、3位・DeNAと対戦することが決まった。今季のシーズンの対戦成績は16勝8敗1分けと大きく勝ち越したが、短期決戦は別物だ。DeNAはCSファーストステージで2位の阪神に、完全アウェーの甲子園で2連勝を飾った勢いがある。

 巨人は個々の選手たちが求められた役割をきっちり果たせるか。大城は捕手だけでなく、一塁で起用される可能性が十分にある。「もちろんCS(クライマックスシリーズ)、日本シリーズと続いていくので、もうひと山、ふた山、越えることができるように。越えてまたビールかけができるように頑張りたいですね」。ナインの思いを代弁した大城の活躍が楽しみだ。

写真=BBM
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