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【首都大学リポート】優勝を手繰り寄せる一発を放った日体大・黒川怜遠 目指すは昨年の成績を超える日本一

 

春季リーグ後、キャプテン就任


日体大で3年生で主将を務める黒川の2ランでV奪還を決めた[写真=大平明]


【10月20日】首都大学一部リーグ戦
日体大2-0城西大(日体大2勝)

 首都大学リーグ第7週2日目。首位に立っていた日体大が城西大を2対0で下し、2季ぶり28回目のリーグ制覇を決めた。

 優勝を手繰り寄せたのは3年生の主将・黒川怜遠(3年・星稜高)の一発だった。2回裏、無死一塁で打席に立った黒川は送りバントを2度ファウルにしてしまう。追い込まれ「かなり焦ったのですが引っ張って走者を進めることを考え、変化球をケアしていたところにちょうどスライダーが来たんです」ととらえた打球はライト芝生席へ飛び込む先制2ラン。

「打った瞬間はボールが太陽にかぶってしまって見えなかったんですが、入ったのが分かってめちゃくちゃうれしかったです」

 この2点を、先発の篠原颯斗(3年・池田高)が相手打線を4安打完封に抑えて守り切り、3年連続8回目の関東大会出場も決めている。

 黒川が主将になったのは5位に終わった春季リーグの終了後。古城隆利監督は「もともと黒川は副主将をしていたこともあって抜擢しました。グラウンドでは元気を出してチームを引っ張って頑張ってくれています」と話しており、黒川本人は「チーム全体のことを見なければいけませんし、キャプテンという立場は想像よりも重かったです。ただ、先輩には言いづらいこともありますが言うべきことはしっかりと伝えるようにしていますし、副主将の井上隼人さん(4年・明石商高)や寺西成騎さん(4年・星稜高)を中心に4年生のみなさんがサポートして支えてくれました」と振り返っている。

 今シーズンはなかなか調子が上がらずに苦しんだ。開幕週の桜美林大2回戦でヒットを記録したあと、黒川のバットからはなかなか快音が響かず。さらに、シーズン途中には憩室炎を発症し入院することとなった。

「疲れが出て、1週間、入院して体重が3kgも減ってしまいました。それで、退院して4日後から練習を再開し、ランニングから始めてキャッチボールをしたり、バットを振ったりして徐々に体を元の状態に戻していったんです」

 3週間の離脱を経て、「調子が戻ってきました」(古城監督)と今週になってようやく戦列に復帰。その2戦目での貴重な一発に、黒川は「最近はバットが刺され気味だったので、前で打つことを意識していました。また、初球から積極的に振っていくことを心掛けていたのですが、その気持ちが結果につながったのだと思います」と話している。

兄は楽天でプレー


 黒川は野球一家で育ったことで知られ、父・洋行さんは1993年に上宮高で春のセンバツに優勝。長兄・大雅さんは日南学園高で甲子園を経験し、次兄・史陽さんは智弁和歌山高で甲子園に1年夏から5季連続で出場。現在は楽天でプレーしている。そして、三男の怜遠も星稜高の2年秋は北信越大会でベスト4。

 最後の夏は石川大会で8強まで勝ち上がるもコロナのため、準々決勝を前に辞退することとなり甲子園に出場することはできなかったが名門校でクリーンアップを務め、現在は日体大のキャプテンを任されている。

 黒川の打席でのルーティンを見てみると、バットでベースを叩いてからピッチャーの方向へバットを向けているが、これは次兄・史陽さんのルーティンを真似たもので「小さい頃からやっているのですが、このルーティンをすることで余計なことは考えなくなりますし、どっしりと構えることができるんです」とかなり影響を受けているようだ。

 11月初めに開幕する関東大会へ向け「4年生にはお世話になっているのでもっと長く一緒に野球がやりたい」と語った黒川。日体大は昨年の関東大会は準優勝し、明治神宮大会で4強だったが、フレッシュなキャプテンに導かれ、昨年の成績を超える日本一を目指す。

文=大平明
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