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巨人で今季1試合登板のみも…他球団から高評価の「菅野2世」は

 

一軍での出場機会に恵まれず


今年は一軍で1試合の登板のみに終わった畠


 巨人がCSファイナルステージでDeNAに3連敗を喫した後に2連勝。アドバンテージの1勝を含めて3勝3敗として、逆王手をかけた。第6戦に勝つか引き分ければ、日本シリーズ進出となる。

 CSファイナルステージの5試合で計7失点。1試合平均1.6失点という数字が表すように、4年ぶりのV奪回を飾った今季は先発、救援陣ともに充実していた。ファームで好投を続けていても、一軍での登板機会に恵まれない投手が出たのは仕方ないだろう。その中で、他球団の評価が高い投手がいる。今季1試合登板に終わった30歳右腕・畠世周だ。

 ブルペンに入ると、エース級の球を投げ込む。最速156キロの直球にカットボール、チェンジアップ、フォーク、カーブを駆使して奪三振能力が高い。独特の感性も魅力だ。週刊ベースボールで昨年11月に「変化球」のテーマで、こう語っている。

「4年前に杉内俊哉コーチ(当時ファーム投手コーチ)の助言をいただいてスライダーが曲がるようになりました。どう投げたら良くなるか悩んでいたときに、杉内さんがソフトバンクで一緒にプレーされていた投手の新垣渚さんの言葉を教えてくださいました。“魔球・バニッシュボール"と言われた落差のあるスライダーを投げられていた方です。『曲がれ!』と思って投げると新垣さんから聞いたそうで、僕にもそうしろと。それで『曲がれ!』と心で念じて投げたら、本当に回転数が2800ぐらいから3000を超えるようになったんです。カットボールとチェンジアップが得意だったんですが、スライダーにも少し自信がつきました」

若手投手が台頭


 美しいフォームから投げ込む本格派右腕は新人の2017年に13試合登板で6勝4敗、防御率2.99をマーク。「菅野智之2世」と形容されたこともあった。その後は度重なる故障で一軍に定着できず、殻を破れない。21年に主に救援で自己最多の52試合登板し、4勝3敗1セーブ11ホールド、防御率3.07と稼働したが、22年は27試合登板と減らし、昨年は3月に右肘関節鏡視下クリーニングの手術を受けて一軍登板なしに。期待の若手も年を重ねて立場が変わった。後輩の戸郷翔征山崎伊織が先発の柱となり、左腕の井上温大も今季8勝と頭角を現した。

 横川凱赤星優志も控える中、畠が今季一軍のマウンドで登板したのは7月14日のDeNA戦(東京ドーム)のみ。4点ビハインドの6回にマウンドに上がると、先頭打者・牧秀悟に一発を浴びたが、その後は7回に三者連続三振に仕留めるなど走者を一人も出さず、3回1安打1失点。まずまずの投球だったが、22日にファームに降格すると、一軍から再昇格の声は掛からなかった。

菅野が抜ける可能性のある来季


 ファームでは格の違いを見せている。イースタン・リーグで37試合登板し、2勝1敗2セーブ、防御率1.41をマーク。1イニングにどれだけの走者を出すかの指標となるWHIPは0.76と抜群の安定感を示している。今季初先発となった9月24日のロッテ戦(浦和)では5回2安打無失点。映像で投球をチェックした他球団の首脳陣は「やっぱりいい投手だなと。一軍でも十分に通用する球を投げている。彼がチャンスを与えられないほど、巨人の先発陣は充実しているとも言えますね」と話していた。

 CSファイナルステージにメンバー入りしていないが、来年は先発陣を取り巻く状況が変わる。今季15勝で最多勝、最高勝率(.833)に輝いた菅野が海外FA権を行使し、メジャーに挑戦することを表明している。巨人OBで野球評論家の小笠原道大氏が「巨人優勝の最大の要因は、やはり菅野智之投手の復調でした。リーグの勝ち頭(15勝)であり、勝率(.833)もトップ。エース・戸郷翔征投手1人に頼らず、がっしりした柱が2本になったのは、大きかったですね」と振り返ったように、菅野の存在は大きかった。1人で貯金12を作った右腕の穴は簡単には埋まらない。先発陣で1人でも多くの投手の台頭が望まれる中、畠が復活すれば大きなプラスアルファになる。まだまだ若手には負けられない。背水の陣で、意地を見せられるか。

写真=BBM
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