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【大学野球】「一枚岩」「向上心」「全員戦力」青学大史上初の4連覇につながった3つのキーワード

 

後輩に伝わった4年生の姿勢


青学大・安藤監督[中央]は優勝旗を手に笑顔を見せる。左は西川、右は主将・佐々木[写真=矢野寿明]


【10月23日】東都大学リーグ戦 第5週
青学大4-1中大(青学大2勝)

 青学大が大学史上初の東都4連覇を達成した。シーズン中にケガ人が続出した中でも、王座を守った。四番の西川史礁(4年・龍谷大平安高)が日大1回戦で死球を受け、以降9試合は出場できなかった。主将で三塁手の佐々木泰(4年・県岐阜商高)はリーグ終盤の亜大1回戦で死球を受け、2試合欠場し、中大1回戦で復帰。主砲の小田康一郎(3年・中京高)もケガにより、終盤4試合を欠場した。

 10勝3敗、勝ち点5の完全優勝。なぜ、青学大は主力選手が不在でも、勝ち続けることができたのか。青学大・安藤寧則監督は勝因につながる3つのキーワードを明かした。

 まずは「一枚岩」である。

「この4年生はいわゆるコロナ世代(2020年夏に高校3年生で、甲子園をかけた夏の地方大会、甲子園大会中止を経験)で、山あり谷ありでした。いろいろな経験、体験が後輩に伝わり、ちょっとした会話、声がつながり、チームを一枚岩にした。佐々木(泰、4年・県岐阜商高)が主将となったこの1年も決して、順風満帆ではなかった。4年生の姿勢が後輩に伝わった。勝ち切れた要因です」

 次に「向上心」である。

「6月に日本一になって以降、グラウンドには各球団のスカウトさん、社会人野球の採用担当さん、業者さんなどが日々出入りしますが、いつも言われたのが『何も変わらないですね』と。一番の誉め言葉です。調子に乗る選手はいないですし、慢心もない。成長が止まる満足はいらない、という話はいつもしています。もっとできる、と。彼らを高校時代から見ている身としては、成長できる余地がまだある。だから、満足することはありません。今日、選手たちが優勝してマウンドに集まる姿を見て幸せでした。大切な後輩なので」

選手34人が横一線の競争


選手34人、学生スタッフ11人。全部員でつかんだリーグ4連覇だった[写真=矢野寿明]


 最後に、青学大のポリシーである「全員戦力」。主将・佐々木が代弁する。

「史礁がいないから負ける、と言われるのは嫌なので……。逆にやってやろう!! という思いになりました。春とは違うメンバーが出場して、結果が残せたのも、安藤監督は常日頃からオープン戦、シートノックなどでいろいろなポジションを試していました。だからこそ、アクシデントにも対応できたんです。『全員戦力』を体現できたと思います」

 選手34人が横一線の競争である。オープン戦で結果を残した者が出場でき、高いレベルでのサバイバルにより、底上げが実現。誰が出場してもそん色のない、少数精鋭軍団だ。

 主砲・西川はサポートメンバーとしてベンチ入りし、制服姿でナインを鼓舞。グラウンドで出場するのとは別視点で、学ぶことが多かったという。「泰(佐々木)が主将でなければ、この4連覇はない。練習パートナーとしてやってきたからこそ、献身的にまとめてきた姿を知っている。神宮大会に間に合うように調整して、昨年できなかった4冠を成し遂げられるようにしたい」。学生野球の集大成の大会まで約1カ月。故障個所は順調な回復ぶりで、11月20日の開幕に照準を合わせる(青学大は同22日の2回戦から登場)。

 西川が語ったように道半ば。春のリーグ戦、6月の全日本大学選手権、そしてこの秋制覇と「3冠」を達成したに過ぎない。昨年は「4冠」を目前にして、慶大との明治神宮大会決勝で惜敗した苦い思い出がある。

「勝ち点5で優勝できたのは大きいですが、昨年はここから神宮大会決勝で負けて、4冠を逃した。ようやく秋日本一に挑む、戦いの舞台に戻ってきた感覚。挑戦権を得られたのは、うれしく思います。もっと引き締めて、長くても(2回戦から決勝まで)3試合。万全の状態で3試合を勝ち切りたい」(佐々木)

V戦士のコメント


 以下は、優勝会見に出席した選手のコメントである。

【最高殊勲選手、ベストナイン捕手】
▼リーグ2位の打率.356
渡部海(2年・智弁和歌山高)
「うれしいです。打撃では良い場面で回ってきて、打つことができて良かったと思います。(高校の1学年先輩で1回戦の先発を務めた)中西さんをリードできて6勝0敗。チームを勝利へと導く、素晴らしい投球でした」

【最優秀投手、ベストナイン投手】
▼リーグ最多6勝、同2位の防御率2.22
中西聖輝(3年・智弁和歌山高)
「昨年は(明治神宮大会決勝で慶大に)負けているので、目標は4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会優勝)。上を見てやっている。チームとしてレベルアップして、優勝できるようにしたい」

▼中大2回戦を6回1失点で勝利投手
児玉悠紀(4年・日大三高)
「初戦に中西が投げて(勝利し)、2戦目に落とす展開が(3カード)あり、負担をかけてしまった。今日はここで2回戦で)しっかり勝てたので良かったです」

▼中大2回戦で3ランの副将
初谷健心(3年・関東第一高)
「必死に振った結果。無我夢中で振って良かった。史礁さん(西川)ら出られない4年生も、声をかけてくださる。自分がやらなきゃいけないと思って、いつも臨んでいる。覚悟を決めて、バットを振れたかなと思います」

文=岡本朋祐
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