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「豊富な実戦の場」「練習環境」「見られる機会」慶大・清原正吾が四国IL香川でプレーする3つのメリット

 

水面下で始まっている「争奪戦」


ドラフトで指名漏れに終わった慶大・清原の大学卒業後の進路が注目されている[写真=矢野寿明]


 慶大の四番・ 清原正吾内野手(4年・慶應義塾高)は10月24日のドラフト会議で指名がなかった。11月9日からは学生野球最後の舞台・早慶戦が控える。伝統の一戦に向けてコンディションを整えているが、水面下ではすでに「争奪戦」が始まっている。

 四国IL香川・上田誠球団代表は早速、獲得へと乗り出した。とにかく、動きが早い。

「25日には球団資料を野球部の堀井(哲也)監督宛に送りました。本人に興味があるようでしたら、すぐに会って直接、説明します。高松から飛んでいきたいと思っています。独立リーグのほか、多くの球団がオファーを出していると聞いているので、競争ですね」

 上田球団代表はかつて慶應義塾高(神奈川)を率い、春夏を通じて甲子園4回の出場へと導き、退任後は慶大コーチを務めた。

「清原選手は大学入学から2年半、携わりました。カワイイ、人が良い、真面目な学生です。入部当初、中学、高校でプレーしていない選手で、硬式野球が初めてだったにも関わらず、ノックでもボールを怖がらなかったんです。課題は明確でした。(相手投手と)ミックスとなった際の変化球への対応。あとは、走塁。実戦経験が必要な分野ですので。この秋はリーグ戦初アーチを含む2本塁打。4年で四番を務めるまでになり、大したものです」

 今秋の明大戦を、神宮球場で観戦した。努力する姿を、間近で見てきた。先輩としてNPB入りを願っていたが、現実は厳しい。ドラフト会議で清原の名前が呼ばれなかった瞬間、上田球団代表はすぐに行動に出たのだった。

 四国IL香川でプレーする3つのメリットを挙げた。

 まずは、豊富な実戦の場である。

「せっかくここまで大学4年間、取り組んできたんですから、卒業後も野球を続けてほしいです。やり切ってほしい。四国ILは、ゲームにたくさん出る機会がある。150キロ超の投手もゴロゴロいます。大学で主に守るファースト以外、サードも練習すれば、プレーヤーとしての幅も広がる。1年頑張れば、もう1回、NPBドラフトのチャンスがある。仮に就職を希望しているならば、そこから切り替えても遅くはないと思います」

慶大OBとして後輩・清原への気遣い


 次に、練習環境である。

「どこの独立リーグ(NPB二軍新規参入を含め)も、試合における移動距離が大変だと聞きます。四国ILもゲームが終わり、夜中に戻ることもありますが、他に比べれば負担は少ないです。1日を取られることはない。体づくりをしていく上で、トレーニングに時間を割くことが非常に大事です。そのあたりは腰を据えて練習できる状況が整っています」

 最後に、見られる機会だ。

「NPBの各球団のスカウトさんが、かなりの頻度で試合会場に足を運んでくださいます。学生野球の現場とは異なり、プロ関係者がグラウンドに下りても問題ありません。試合前の打撃練習などで、話を聞くことができる。また、定期的にソフトバンクの三軍、四軍との交流戦も組まれています。よりNPBに触れられ、レベルアップが期待できます」

 上田球団代表は多くをアピールするが、慶大OBとして後輩・清原への気遣いも忘れない。

「今年の4年生は、思うような結果が残せていないのが現実です(春3位、秋は2016年春以来の4位以下が決定)。最後の慶早戦で勝ち点を挙げて、良い思いをして卒業してほしい。神宮で学生野球を満喫してほしい」

 実際に進路が動き出すのは、早慶戦後とみられる。清原は法大2回戦後にこう言っていた。

「早慶戦の舞台は、特別なものがある。小学生(慶應義塾幼稚舎)から見てきた。大学野球人生の締めくくりとして後悔なく、体がボロボロになってもいいので、死に物狂いで戦っていきたいと思います。優勝の可能性があるないに関係なく、慶應の塾生である以上、早稲田に負けられない使命がある。必ず勝って終わりたいです」

 清原は常に「覚悟」を口にしてきた。慶大の四番として、その責務を全うするだけである。

文=岡本朋祐
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