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【大学野球】神宮で斎藤佑樹以来の大フィーバー 楽天スカウトが明かした入団後の宗山塁の展望

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14年ぶりの光景


1位入札で5球団が競合したドラフト以降の初試合。楽天1位の明大・宗山はこの日は無安打も、安定した遊撃守備で勝利に貢献した[写真=矢野寿明]


【11月3日】東京六大学リーグ戦第8週
明大4-2法大(明大1勝)

 この光景を見るのは、14年ぶりである。

 早大・斎藤佑樹(元日本ハム)が在籍した4年間(07年春~10年秋)、神宮は空前の人気を誇った。試合後、引き揚げる際は神宮球場の正面は「佑ちゃん」を一目見ようと、大勢の観衆がごった返した。運営側は事故を避けるため、バリケードを設置したほどだった。

 10月24日のドラフト。明大・宗山塁(4年・広陵高)は第1回1位入札で5球団が重複し、クジ引きの末、楽天が交渉権を手にした。大学生野手に5球団以上が競合したのは、6球団の79年の早大・岡田彰布(阪神1位)以来45年ぶり2度目。「20年に一人の遊撃手」と言われた宗山の逸材ぶりが証明された。

 ドラフト会議以降、初のリーグ戦。明大は法大1回戦で先勝した。宗山の知名度は一気に上がり、試合後は、大勢の観衆が出待ちした。引き揚げる直前には、球場係員から「選手が出てきても、そのまま動かないようにお願いします」とアナウンス。大きな混乱はなく、明大の移動バスは無事に球場をあとにした。

 明大は昨春以来のリーグ優勝へ、1敗もできない状況で、踏みとどまった。第8週の法大戦を連勝で勝ち点4として、第9週の早慶戦の結果待ちという状況にある。早大が慶大戦で1勝すれば早大優勝。早大が慶大戦で連敗すれば、明大と勝ち点と勝率で同率となり、優勝決定戦という星勘定である。

 逆転優勝へ望みをつないだ明大。不動の三番・遊撃の宗山はこの日、3つの四球を選んだ。6回表の第3打席は一死二塁から一ゴロ。「最低でも三塁に進めておいたほうが良いか、と。仮に次打者がアウトになってもその形(二死三塁)で終わるほうが良いか、と。頭の片隅にはありました」。得点にはつながらなかったが、7回表に3点を先制。少なからず、法大の先発・篠木健太郎(4年・木更津総合高)にプレッシャーを与えることができた。4度の守備機会も、軽快な動き。球際の強さ、安定したスローイングを披露した。

ドラフト後、さらに上がる注目度


ネット裏では楽天・後関スカウト部長が視察した。左は愛敬尚史アマスカウトグループマネジャー、右は担当の沖原佳典スカウト[写真=矢野寿明]


 ネット裏で視察した楽天・後関昌彦スカウト部長は、宗山のプロ入り後の展望を明かした。

「当然、競争にはなりますが、(遊撃の)レギュラーを取ってほしい。レギュラーを取ってもらわないといけない。今季、(自己最多139試合に出場して)頑張った村林(村林一輝)にとっても、厳しい競争になる。プロなので勝負の世界。力のある者が生き残る。数字? 試合出場が多くなれば、それだけの結果が出てくると思います。ケガをせず、1年間、ゲームに出られるだけの強い体を作ってほしい。ウチには明治大学出身、同世代の東京六大学出身の選手も多いので、プレーしやすい環境下にあります。期待は大きいです」

試合後は多くのファンが出待ち。さらに注目度が上がっている[写真=矢野寿明]


 ドラフト以降、さらに注目度が上がっても、試合後、宗山は淡々と振り返った。

「気持ちの変化はない。どういう立場になっても変わらない。堂々とプレーするだけです」と平常心を貫いた。そして、こう続けた。

「勝って終わるだけ。自分たちができることをやる」

 法大2回戦で連勝して、勝ち点4に伸ばす。リーグ優勝の望みをつないで、5カード目を終えることしか頭にない。そして、早慶戦の結果次第だが、早大との優勝決定戦に向けた準備に入る。背番号10の主将は、可能性がある限り、明大のV奪還に集中する。

文=岡本朋祐

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