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愛すべき助っ人たち

「ワニ男」の後は「ミミズ男」? “ID野球”初の日本一に貢献したハドラー【愛すべき助っ人たち】

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1年で解雇もメジャーで活躍


打撃はシュアで打率3割をマークした


 平成で最初の本塁打王となりながら、好物を「ワニの肉」と答えたことで「ワニ男」と呼ばれ、1年で退団しながらもヤクルトに強烈なインパクトを残したラリー・パリッシュ。これは新たに就任した野村克也監督の構想から外れたための退団だったが、パリッシュの印象も冷めやらぬ1993年、いわゆる“ゲテモノ食い”で話題を呼ぶ助っ人が登場した。来日1年目、レックス・ハドラーだ。かつてヤクルトでもプレーしたレオン・リーの紹介で入団した助っ人が騒動の中心となる。

 パリッシュの「ワニ」は、いわば自己申告。一方のハドラーは、衆人環視の中で生のミミズを食べて見せたのだった。ただ、これは一種のファンサービスというか、パフォーマンス。どちらかといえば罰ゲームのような気もするが、魚の刺身を勧められて「こんなの食べる奴はクレージーだ」と拒絶したパリッシュとは対照的に、刺身はおろか、しゃぶしゃぶなどの日本食も好んだという。なんでも食べるだけ、といわれればそれまでなのだが、「ゴキブリだけは食べない」とハドラーは語っている。とはいえ、どこまでが本当で、どこからが冗談か、よく分からない部分もあるから、とりあえず間違いないのは、旺盛なサービス精神の持ち主、といったところか。

 この93年は、前年MVP、首位打者と本塁打王の打撃2冠というジャック・ハウエルが健在ということもあるが、ハドラーは打棒もパリッシュとは対照的に安打製造機タイプで、前半戦は首位打者を争うほどの安定感を発揮する。チャンスの場面で弱かったパリッシュの一方、ここぞという場面で打ちまくる姿も対照的で、最終的には打率.300をマーク。ヤクルトのリーグ連覇に貢献した。その勢いのままヤクルトは日本シリーズで黄金時代の西武を破って15年ぶり日本一。“ID野球”初、野村監督にとっても初の日本一だった。

 ただ、打棒の安定感とは対照的に、二塁守備は安定感に欠けたハドラー。日本一への貢献度は高かったが、1年で退団する。翌94年にはエンゼルスでメジャー復帰。96年には92試合で16本塁打を放つなど、結果を残している。

写真=BBM

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