週刊ベースボールONLINE

首都大学リポート

【首都大学リポート】武蔵大一部昇格に貢献した右腕・松崎公亮 卒業後は社会人、2年後のプロ入り目指す

 

積み上げた練習が効果を発揮


4年生右腕・松崎は一部昇格に貢献した[写真=大平明]


【11月10日】首都大学一部二部入れ替え戦
武蔵大6-3桜美林大(武蔵大2勝)

 首都大学リーグ一部二部入れ替え戦2日目。二部1位の武蔵大が一部6位の桜美林大に先勝して迎えた2回戦。王手をかけていた武蔵大は序盤から猛攻を仕掛け、2回表には6本の長短打を集中して5点を先制。中盤はジリジリと追い上げられるも、9回にダメ押し点を挙げて逃げ切り。6対3で桜美林大を下し、連勝で武蔵大が3季ぶりの一部復帰を決めた。

 昇格を決めるこの試合で先発を任されたのが松崎公亮(4年・聖徳学園高)だ。松崎はキレのあるストレートを武器に、一昨年春は防御率0.70で一部リーグのベストナインを受賞。しかし、その後はなかなか調子が上がらず、チームも昨春の入れ替え戦で敗れて二部に降格してしまった。

「オレが、オレがという気持ちが強すぎて、それが力みにつながってしまいました。オープン戦では良いピッチングができていたので『リラックスして投げた方がいい』と頭では分かっていたのですが実践できなかんたんです」。3年春から今春までの3シーズンはリーグ戦で未勝利。どん底まで落ちて「野球をやめたくなったこともあります」

 転機となったのは今春の城西大との入れ替え戦。2回戦で先発すると6安打1失点の好投で完投勝ちした。

「初戦を落として後がなくなったことで、気持ちが吹っ切れて脱力して投げることができました。あの試合がターニングポイントだったと思います」

 今春から積み重ねてきた練習も効果を発揮。

「良いストレートを投げるために40〜50メートルの距離でキャッチボールをするのですが、相手の頭くらいを目掛けて低くて強いボールを投げるように心掛けてきました。それが、マウンドからの18.44メートルになった時、ホームベースを通過するときの強さになり、伸びもよ良くなったんです」

 フォームも修正した。

「今も上半身は脱力して投げることを意識していて下半身主導で投げているのですが、柱につけた太いチューブを使って、体を逆方向へ引っ張りながら左足を踏み出すところまでのフォームを何度も繰り返し、股関節がはまっていく感覚を養いました。このフォームで投げられるようになってからはピッチングが安定しましたし、力を抜いて投げられているので試合後に感じていた疲労感もなりました」

今秋はMVPを受賞


 今秋は開幕の玉川大戦で先発し、7回を無失点に抑えて4シーズンぶりの勝利投手に。その後も好投を続け、二部リーグで5位の防御率1.04をマーク。三振も34回2/3を投げて33三振を奪った。

「ストレートは自己最速の151キロに迫る150キロを2度計測し、決め球の縦のスライダーも腕が振れるようになった分、キレが良くなりました」

 こうして、6試合に登板して負けなしの4勝。2試合を締めるなど、チームの8勝のうち6つの白星に関わり最優秀選手を受賞した。

「MVPはチームにとらせてもらったというか、チーム全員でとったというか。とにかくチームのおかげです」

 山口亮監督も「球威が戻り、2年生の良かった頃の投げっぷりが戻ってきました。まだまだ成長できます」と話している。

 この日の入れ替え戦は4回途中で降板したが「悪いなりになんとかまとめられました」とリードを保ったまま救援へマウンドを引き継いで勝利に貢献。一部昇格を果たし「素直にうれしい。最高の気分です。後輩たちには一部での優勝を目指し、苦しいなかでも頑張ってほしい」とメッセージを送った。

武蔵大は今春も二部で優勝して入れ替え戦を戦ったが1勝1敗で迎えた3回戦は0対1で敗戦。昇格を逃した悔しさを忘れないため、その敗れたスコアをベンチにずっと貼りだしていつでも目に入るようにしていた。一部昇格へかける執念が実った形となった。

 大学4年間は「本当にいろいろなことがありました。2年生の時はこのまま行けると思っていましたが、野球の厳しさを教えられました」と実感を込めて話した松崎。実はその2年生の時にバッテリーを組んでいた斉藤北斗さんとは今も連絡を取っているそうで「斉藤さんは大学で野球をやめたのですが、今も試合の動画を見て、配球や間の取り方についてアドバイスを送ってくれるんです。斉藤さんのように、苦しい時も親身になってくださった方がいたおかげで、野球を続けてこられたのだと思います」と感謝の言葉を述べている。

 卒業後は社会人で野球を続ける松崎。「ケガをしないように気を付けて、都市対抗で勝利投手になりたい。そして、2年後はプロへ行けるように頑張ります」。後輩へ一部昇格という大きなプレゼントを残し、松崎は社会人野球という新たな世界へ旅立つ。

文=大平明
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング