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【大学野球】東洋大が3季ぶり一部昇格 指揮官は来季展望へ慎重に言葉を選ぶも「戦力としては自信を持っている」

 

2回戦を前に手ごたえ


東洋大は3季ぶりの一部昇格を決めた試合後、控え部員と記念撮影した[写真=矢野寿明]


11月17日▼神宮
【東都大学一部・二部入れ替え戦】
東洋大19-2東農大
(東洋大は一部昇格)

 東都大学野球一部・二部入れ替え戦は二部1位・東洋大が一部6位・東農大を連勝で下し、3季ぶりの一部昇格を決めた。

 1回戦は東洋大が2対1で9回裏サヨナラ勝ち。重苦しい接戦を制し、2回戦を前に東洋大・井上大監督は手ごたえを感じていた。

「今日の朝も打撃練習をしてきたんですが、リラックスしている様子に見受けられました。打ってくれると、確信とまでいきませんが、予想はしていました。こちらが思い描いている理想の展開になりました」

 プレーボールの1回表から打線がつながった。長短6安打、打者12人の猛攻で一挙8得点。2回以降も手を緩めず、得点重ね、16安打19得点で大勝した。

 三番・花田旭(3年・大阪桐蔭高)は4回表に3ランを放つなど、6打数3安打5打点と活躍した。187センチの右スラッガーである。

「昨秋の入れ替え戦(対駒大)は直前にケガをして迷惑をかけ、今回の入れ替え戦は特別な思いで挑みました。チームが流れを作ってくれて『一発を狙おう』と打席に入りました。ベンチからも前向きな言葉をかけてくれたことで、甘い球を仕留めることができました。勝負強さの秘訣? 井上さん(監督)から日頃から気持ちの面で鍛えてもらっています」

4年生が最高の置き土産


ソフトバンク6位指名の岩崎は5回2失点で勝利投手。プロでは「下の立場からチャンスをつかんで、信頼される投手になりたい」と語った[写真=矢野寿明]


 入れ替え戦は1、2回戦を通じて3年生以下の先発メンバーで臨んだ。投手陣は1回戦をエース・島田舜也(3年・木更津総合高)が先発(6回途中1失点)。2回戦は前日の1回戦の救援から連投となった岩崎峻典(4年・履正社高、ソフトバンク6位)が先発し、5回2失点と試合を作った。6回以降は柿本晟弥(東洋大姫路高)、佐伯成優(高岡第一高)と4年生2人が1回ずつをつないだ。そして、8回から2イニングは一條力真(4年・常総学院高、ロッテ3位)が1安打無失点でゲームを締めた。

ロッテ3位指名の一條はキレのある真っすぐを軸に、8回から2イニングを無失点で試合を締めた。プロでは「観客、子どもに夢を与えられるような投手になりたい」と抱負を語った[写真=矢野寿明]


「昨秋は僕で負けていたので(駒大との入れ替え戦3回戦で9回裏からリリーフして、タイブレークの延長10回裏サヨナラ敗退)、すごくうれしいです。点差もあったので、気持ち良く投げられた。最後の回も、3人三振で行きたかったですが、うまくできなかった。厳しい場面で投げる入れ替え戦を通じて、精神面の部分で成長できました。プロの世界でもこの経験を生かせればと思います」(一條)

「うれしいの、一言です。自分たちは昨春、一部に昇格しましたが、秋の1シーズンで降格してしまった。二部の期間のほうが長かったので……。3年生以下が日本一を狙える環境で戦ってほしいと思っていました」(岩崎)

 4年生が「一部昇格」という最高の置き土産を残した。井上監督は来季への展望を問われると慎重に言葉を選んだ。

「本当は『日本一を目指す』と大きいことを言いたいところですが、前回も1季で二部に落ちました。自力で勝ち点3を取るチームを作って、そこから上を目指していければ、と」

 昨秋は一部残留当確ラインと言われる勝ち点2(5勝7敗)を奪取したが、6勝7敗の亜大と国学院との勝率の差で最下位となった苦い経験がある。「ここ一番で勝ちきれなかった……。周りもダンゴでしたので……。ああいうこともあるので……」(井上監督)。

 あくまでも、謙虚に足元を見つめる指揮官。ただ、秘めた思いもある。「野手は残りますし、来年も良い選手が入学してきます。競争です。戦力としては自信を持っています」。井上監督は来年で就任3年目を迎える。「一部安定勢力」という確固たる立場を得た上で、大学球界の頂点を目指していく。

文=岡本朋祐
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