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【大学野球】8回に19点目となる2ラン 一部復帰をグラウンドで迎えた東洋大主将・嶋村知浩

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人望の厚さを感じるシーン


主将・嶋村は8回表に代打2ラン。左中間スタンドへ放り込む豪快な打撃だった。背後の応援席の盛り上がりを見れば、いかに慕われていたかが分かる[写真=矢野寿明]


11月17日▼神宮
【東都大学一部・二部入れ替え戦】
東洋大19-2東農大
(東洋大は一部昇格)

 東都大学野球一部・二部入れ替え戦は二部1位・東洋大が一部6位・東農大を連勝で下し、3季ぶりの一部昇格を決めた。

 2回戦は16安打19得点で大勝。先発9人の打線は、全員が3年生以下だった。17対2で迎えた8回表一死二塁から、三塁ベンチの東洋大・井上大監督は、球審に嶋村知浩(4年・栄北高)をコールした。

 背番号1の主将がネクストサークルから打席へ向かうと、控え部員がいる三塁側応援席は、この日一番の盛り上がり。三塁内野席からネット裏にかけても、大きな拍手が起きた。

「後輩が点差を広げてくれたので、大きいのを狙おうと思っていました。あんな歓声の中で野球ができるのは幸せでした」(嶋村)

 フルカウントからの6球目をフルスイング。良い角度で上がった打球は左中間スタンドへと吸い込まれた。19点目となる2ランである。ダイヤモンドを1周した後も、嶋村コールが鳴りやまず。チーム全体からの人望の厚さを感じるシーンだった。嶋村はそのまま一塁の守備に入り、一部復帰をグラウンドで迎えた。

「プレッシャーがあったので、最後、一部に上がれたのは、安心している。打った感触はありませんでした(苦笑)。打った自分が、ビックリしています」

試合後、主将・嶋村は選手たちによって胴上げされた。1年間の苦労が報われた瞬間だった[写真=矢野寿明]


 今秋の二部リーグ戦は、2試合の出場。ベンチを温める時間が長かったが、チームのために動いた。井上大監督は「ずっと使われない、鬱憤を晴らしたのでは」と目を細めた。3年生以下が思う存分プレーできるのも、4年生のサポートなくしてあり得なかった。

 4年生が後輩に「一部昇格」という、最高の置き土産を残した。「4年生の投手は抜けますが、3年生の島田(舜也、木更津総合高)を中心に、打線も池田(彪我、3年・三重高)、花田(旭、3年・大阪桐蔭高)、宮下(朝陽、3年・北海高)と心強い後輩がいる。一部でも、しっかりと戦ってほしいです」。試合後はチームメートによって、胴上げされた背番号1。この1年間の苦労が報われた。主将という大役を終え、笑顔で神宮をあとにした。

文=岡本朋祐

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