世界を相手に猛打爆発
四番として侍ジャパン打線をけん引する森下
侍ジャパンがプレミア12のオープニングラウンドで5連勝を飾り、決勝ラウンド進出を決めた。その主役として輝いているのが、四番打者を務める
阪神・
森下翔太だ。
今大会は本塁打王を3度獲得の実績を持つ
岡本和真(
巨人)が腰痛で出場辞退。
村上宗隆(
ヤクルト)もシーズン最終戦で自打球を当てて右足親指を骨折したためメンバーから外れている。球界を代表する両スラッガーが不在の状況で、四番に抜擢された森下は新鮮に映ったが、試合を重ねるたびにすごみが増している。
オープニングラウンド5試合に出場し、14打数8安打の打率.571。開幕戦の豪州戦で猛打賞と最高のスタートを切った。初回は先制した直後の一死一塁で四球を選んで好機を拡大すると、3回に遊撃内野安打、7回に三塁線を破る二塁打、8回二死一、三塁で2点左中間二塁打を放った。豪州は計12人の投手を繰り出して目先を変えようと試みたが、森下は初対戦の投手への対応能力が高い。初球打ちを2度仕掛けていずれもヒットにした。
15日の韓国戦では、1点リードの7回一死一塁でチョン・へヨンの147キロ直球を左翼席に弾き返す2ラン。3点差に突き放し、試合の流れを大きく引き寄せた。初戦から4試合連続適時打を放ち、最終戦のドミニカ共和国戦も猛打賞と安打を打ち続けている。六番にWBCの優勝メンバーで中大の先輩・
牧秀悟(
DeNA)が控えていることも心強いだろう。
スポーツ紙記者は、「森下は四番が似合う。チャンスで一層輝くし、注目されている状況を力に変えられる。阪神では
大山悠輔が四番を務めていましたが、今オフにFA権を行使しました。去就が注目されますが、大山が残留したとしても、森下は四番に適任だと感じます」と高く評価する。
阪神では主に三番起用
今季のペナントでは唯一四番に座った巨人戦で先制2ランを放った
プロ2年目の今季は打撃のスタイルを崩して7月上旬に登録抹消を経験したが、約2週間の調整期間を経て一軍に復帰すると、同月以降に3カ月連続月間打率3割以上をマーク。コンタクト能力が格段に高まり、得点圏打率.351は
オースティン(DeNA)、大山に次ぐリーグ3位と勝負強さが光った。阪神の今季の四番の成績を見ると、大山がチーム最多の90試合でスタメン出場し、打率.246、7本塁打、39打点。五番では36試合出場で打率.300、7本塁打、27打点の好成績に比べると、数字が落ちる。
森下は四番に起用されたのが1試合のみだった。8月13日の巨人戦(東京ドーム)で初回に
グリフィンから左中間に先制2ランを放っている。三番は106試合のスタメン出場で打率.275、13本塁打、67打点をマーク。チャンスメークを務めると共に、ポイントゲッターとしても稼働した。
スーパーラウンドでも期待
昨年11月に開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)で侍ジャパンに選出され、大会のベストナインに選出されている。侍ジャパンの
井端弘和監督は今回のプレミア12に向け、「欲を言えば今回のAPCSのメンバーの半分以上が入ってほしい」と語っていた。その言葉の真意を、週刊ベースボールのインタビューで語っている。
「今回のメンバーは、オーバーエージ枠はありましたが、基本的には24歳以下の選手たちでした。プレミア12で優勝することだけを考えるなら、その時点で呼べるフルメンバーを集めればいいんですが、次のWBCは26年です。さらにその先は28年がロサンゼルス五輪で、その前年には予選があります。4年後、5年後を見据えていかなければならない。今、24歳の選手たちにとって4年後は28歳。一番、選手としていい時期になります。だから今回のAPBCを戦った選手たちをはじめとするこの年代に、しっかりと経験を積ませるのが自分の仕事かなと思っています」
スー
パーラウンドはアメリカ、ベネズエラ、チャイニーズ・タイペイと対戦して上位2カ国が決勝戦に進出する。難敵が続くが、重圧のかかる試合で活躍できれば、選手としての価値が高まる。四番の森下が侍ジャパンを頂点に導く。
写真=BBM