抜群の配球と制球力
東洋大姫路高・阪下は5回2安打無失点で、初戦突破に貢献した[写真=川口洋邦]
11月20日 神宮
【第55回記念明治神宮野球大会】
▼1回戦
東洋大姫路高10-0聖光学院高
(5回
コールド)
第55回記念明治神宮野球大会が11月20日に開幕した。17年ぶり3回目出場の東洋大姫路高(近畿地区/兵庫)は聖光学院高(東北地区/福島)との1回戦を10安打10得点で5回コールド勝利を収めた。同校は大会初勝利である。
東洋大姫路高の147キロ右腕・阪下漣(2年)は5回を2安打無失点に抑えた。
初の全国舞台。朝から冷たい雨が降り注ぐ悪条件の影響も感じさせず、二塁を踏ませなかった。2つの併殺があり、打者15人で抑えている。
「強気の投球を心がけて、チームの勝利に貢献できたのはうれしいです。打者一人ひとりに全力でいった結果です」
なぜ、東北王者の相手打線を封じることができたのか。その要因は、配球と制球力にある。
「いつもは真っすぐで押していき、変化球を織り交ぜるパターンですが、今日は変化球でカウントを整えて、最後はストレート勝負にしました。県大会から課題にしていましたが、変化球を低めに集めることを意識しました。無駄な四死球を与えず、回の先頭を大事にいきました。自信のあるコントロールが、全国大会で通用することが分かりました」
マウンドへの対応。仲間への感謝を語る。
「1週間前から、チームメートが神宮仕様に硬くしてくれたんです。いつも通り投げられました。神宮のマウンドから見る景色も良かったです。バッターとの1対1の勝負を、楽しんで投げられました」
英才プログラムを積んで
2022年4月から母校・東洋大姫路高を指揮する岡田龍生監督の下、英才プログラムを積んできた。今年10月24日のドラフト会議で三菱重工West・
竹田祐(明大)が
DeNA1位、東洋大・
岩崎峻典(4年)が
ソフトバンク6位に指名された。2人は岡田監督が35年率いた前任校・履正社高(大阪)の教え子である。
「竹田、岩崎、寺島(
寺島成輝、元
ヤクルト、17年ドラフト1位)を含めて、同じ育て方をしてきました。意識レベルが同じだから、阪下も同等のことができます。トレーニング、試合までの調整法など、コーチ、トレーナーと相談しながら組み立ててきました。プロにすぐ行けるか、大学進学して1年春からすぐに投げられるか、となったときに、自分で考え、実践し、つかんでいかないと通用しない。そういう部分で、阪下は先輩と同様、可能性のある投手です」
高校生屈指の好投手は、2025年のドラフト候補に挙がる。ライバルを聞けば「投手はあまり見ない」と、相手打者の分析に時間を割くことが多い。ただ「コントロールについては負けたくない。日本で一番になりたい」と目を輝かせる。ドジャース・
大谷翔平と同じ7月5日生まれが「唯一の自慢です」と語る181センチ右腕が、25年の高校野球界をけん引する存在となる。
文=岡本朋祐