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第55回記念明治神宮野球大会

【神宮大会】青学大・初谷健心が準決勝でサヨナラ打 真っ先に頭に浮かんだのは「また、4年生とやれる!!」

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ドラフト1位指名選手2人を欠いて


4対4の10回裏一死満塁から三番・初谷が中前へサヨナラ打を放った[写真=矢野寿明]


11月24日 神宮
【第55回記念明治神宮野球大会】
▼準決勝
青学大5x-4天理大
(延長10回タイブレーク)

 第55回記念明治神宮野球大会の5日目(11月24日)の第1試合、青学大(東都)が天理大(関西第1代表/阪神)との準決勝を、延長10回タイブレークの末にサヨナラ勝ち(5対4)した。

 4対4のまま、9回で決着がつかず、延長タイブレークである。青学大は10回表から三番手で救援した右腕・鈴木泰成(2年・東海大菅生高)が無失点に抑えた。10回裏。一死満塁から打席に入った副将・初谷健心(3年・関東第一高)が、中前へサヨナラ打を放った。

 一塁ベースに向かう際、真っ先に思い浮かんだのが「また、4年生とやれる!!」だった。

 試合前の円陣で、声出しを担当。主将・佐々木泰(4年・県岐阜商高)が指名した。初谷自身も「行きたいと思っていました」。先輩と後輩の思いが一致したのである。

 青学大は10月24日のドラフト会議で1位指名された野手2人を欠いていた。ロッテ1位の西川史礁 (4年・龍谷大平安高)は今秋のリーグ戦序盤の死球により、右手人差し指の第一関節にひびが入り離脱。今大会に合わせて調整し、メンバーに戻ってきたが、ベンチスタートだった。

主将・佐々木はケガにより準決勝を欠場。ベンチでチームを鼓舞し続けた。右は西川[写真=矢野寿明]


 広島1位の佐々木は福岡大との2回戦の守備で左肩を痛め、準決勝を欠場した。さらには、今秋のベストナインの小田康一郎内野手(3年・中京高)もリーグ戦中の右手首を痛め、ベンチ登録外。中心打者3人が不在という危機的状況だった。

 だからこそ、初谷は声出しで発信したかった。

「佐々木さんがいない中で、周囲から『大丈夫か?』という見方をされる。そこで勝ったら、気持ちが良い。期待を良い意味で裏切ろう、と。青学のユニフォームを着ている以上、負けられない。プライドを持って戦おう、と」

 佐々木、西川、小田が先発から外れるケースはリーグ戦の亜大2、3回戦でもあった(主将・佐々木は亜大1回戦の死球で左手打撲)。

「経験しているので、今度は全国大会で(モットーの)『全員戦力』を見せつけてやろう、と。マイナスな部分はありませんでした」

全員の力で勝ち切って


 この日、初谷は本来、佐々木が入るはずの三塁のポジションに入った。青学大では常にシートノック、オープン戦を通じて複数ポジションの練習を積んでおり、焦ることはなかった。部員45人(選手34人)、青学大が全員の力で勝ち切り、2年連続の決勝進出を決めた。

「試合中も佐々木さんが『我慢!! 我慢!!』とずっと、声をかけてくれました。守備前にはグラブを持ってきてくれて『大丈夫だ!!』と。ありがたかったです」

西川は9回裏に代打で登場し、9月25日の日大1回戦以来の出場。空振り三振も、持ち前のフルスイングを見せた[写真=矢野寿明]


 3年生で副将を務めているだけに、2025年の主将については「やりたいです!!」と意欲を示す。「山田(山田拓也、東芝)さん中島(中島大輔楽天)さん、佐々木さんと見てきて、自分はまだ、甘いところがある。主将を務めることで、自分自身の成長にもつながる」。この秋は準備段階として、自覚を持って過ごしてきた。

 青学大は昨年、年間タイトル4冠(春、秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)を目前にし、明治神宮大会決勝で慶大に惜敗(0対2)した。3年生・初谷は言う。

「率先して『4冠!! 4冠!!』と、ずっと4年生が引っ張ってくれました。チャンスが来たので必ず、4冠を達成したい」

 準決勝でサヨナラ打を放っても、達成感を得るのは、まだ先である。「明日です」。4年生を最高の形で送り出すのが、モチベーションだ。ピンチこそチャンスととらえ、2024年のラストゲームで「全員戦力」を結実させる。

文=岡本朋祐

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