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楽天を電撃退団の田中将大 下位低迷のヤクルト、中日「獲得に動く可能性」が

 

先発陣が苦しいヤクルト


今季はわずか1試合の登板に終わった田中


 楽天田中将大が今年限りで電撃退団することになった。今季は1試合登板のみに終わり、プロ18年目で初の未勝利に終わった。ただ、日米通算200勝まで残り3勝に迫っている。高卒で入団以来、ヤンキースでプレーした7年間を除く11年間プレーした楽天で大記録を達成すると見られていただけに、驚きは大きい。今後の去就が注目されるところだが、実績十分の右腕に対して名乗りを上げる球団は現れるだろうか。

 筆頭候補と見られるのが2年連続の5位に低迷したヤクルトだ。先発のコマ不足は長年解消されておらず、今季2ケタ勝利を挙げた投手はゼロ。リーグ連覇を飾った2021、22年も含め、2ケタ勝利をマークした投手は小川泰弘のみ(20年と23年)となっている。来年の先発陣で確定していると言えるのは、今季自己最多の9勝をマークした吉村貢司郎ぐらいか。高橋奎二は好不調の波が激しく、小川も今季12試合登板で2勝のみと精彩を欠いた。吉村に次ぐチーム2位の129回1/3を投げたミゲル・ヤフーレは今季限りでの退団が決まっており、台所事情は苦しい。

 来季6年目の続投が決まった高津臣吾監督は、「今年のこの成績にも関わらず、来季の監督の要請をしていただいたことに感謝しております。チームを再建するのは簡単なことではありませんが、身を削る思いで努力します」と誓っている。今オフにFA権を行使した石川柊太(ソフトバンク)の獲得に乗り出しているが、経験豊富な田中が復活できると判断した場合、補強に動く公算は高い。

広いバンテリンドームで生きる投球


 球団史上初の3年連続最下位に終わった中日も、獲得を検討する可能性がある。先発陣で計算できるのは絶対的エース・高橋宏斗のみ。今季4勝に終わった柳裕也が二番手になるが、三番手以降に不安が残る。チームトップの144回1/3を投げた小笠原慎之介は今オフにポスティングシステムでメジャー挑戦を表明している。ドラフト1位の金丸夢斗(関大)、2位の吉田聖弥(西濃運輸)の即戦力左腕コンビに加え、梅津晃大松木平優太仲地礼亜と若手成長株たちの一本立ちが期待されるが、シーズンは長い。大野雄大涌井秀章松葉貴大とベテランが控えているが、先発候補は何枚いても困らない。広いバンテリンドームで田中の投球術が生きる可能性は十分にある。

「88年世代」の先頭を走って


 田中は責任感の強い男だ。今年9月28日のオリックス戦(楽天モバイル)。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けて以降、状態がなかなか上がってこなかったが、楽天ファンは右腕の復活を待っていた。試合前にウォーミングアップのためにグラウンドに姿を見せると、大きな拍手が起こった。

「びっくりしました。あんなに歓声があるなんて。準備をしているときからこの声援に応えたいなという気持ちは強くなりました」

 362日ぶりの一軍マウンドとなった先発登板は5回6安打4失点。3回までは無失点に抑えたが、4回に4本の集中打を浴びて3失点。5回も太田椋に右越えソロを浴びて4点目を失った。初回から飛ばした分、4回以降は球速が落ちたところをつかまった。「今季初登板とか、リハビリしてきて1年ぶりの登板だとか、どういう状況であれマウンドに上がったら自分の事情なんか関係ない。こういう投球になってしまい、今日のゲームを落としてしまって悔しいです」と試合後は責任を背負い込んだが、この時は楽天で「ラスト登板」になることを想像すらできなかった。

 坂本勇人(巨人)、前田健太(タイガース)、秋山翔吾(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)、宮崎敏郎(DeNA)らタレントがそろう「88年世代」で、田中は高卒で入団してから先頭を走っていた。日米通算200勝という節目の記録があるが、目標はその節目ではない。新天地でもう一度輝きを取り戻せるか。愛する杜の都に別れを告げ、36歳右腕が再スタートを切る。

写真=BBM
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