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巨人の新加入左腕に他球団警戒 「中日の黄金時代を支えたリリーバーに重なる」

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大きな可能性を秘めた左腕


ドラフト5位で巨人に入団した宮原


 強力な巨人の救援陣に、大きな可能性を秘めた左腕が加わる。ドラフト5位で入団した宮原駿介(東海大静岡キャンパス)だ。

 静岡学園では1年夏からエースになったが甲子園出場は叶わず。大学進学後に才能を開花させた。最速153キロの直球とスライダー、カットボールを小気味良く投げるスタイルで三振奪取能力が高く、プロの評価を高めていった。昨年7月に侍ジャパン大学代表候補の合宿に招集されると、紅白戦で2回無失点の快投。初球のスライダーでカウントを取り、インコースをうまく攻め、相手打者が打ちにくるところでカットボールを投じてタイミングを外す投球が冴えた。

 宮原の投球を見続けてきた他球団のスカウトは、こう分析する。

「身長174cmと上背はないが、直球がベース盤で加速する軌道でスライダー、カットボールもキレがある。中日のリリーバーで活躍した高橋聡文と重なります」

 高橋も176cmと小柄だったが、ダイナミックな投球フォームから投げ下ろす直球、スライダー、フォークを武器に奪三振能力が高かった。一軍初登板となった2004年4月13日の巨人戦(東京ドーム)で2回無失点。「最初は何か地に足が着いていないフワフワした感じでした。立っている感じでなく、浮いている感じでしたね。しかもテレビで見たことがある選手ばかりが相手だった。でも、対戦する中で、僕の真っすぐに差し込まれているのを見て『やはり自分のボールを投げられたらいけるのかなあ』というちょっとした自信ができました。それと人づてに聞いたのですが、当時の巨人の主砲だった小久保裕紀さんが『スライダーが消えたわ』ということを言っていたと噂で聞きまして、それがさらなる自信になりましたね」と明かしている。

日本シリーズで印象的な投球


2010年、ロッテとの日本シリーズに登板した高橋


 落合博満監督が指揮を執った中日の黄金時代にセットアッパーとして活躍し、10年は63試合登板で4勝1敗31ホールド、防御率1.61をマーク。印象的な快投が、同年にロッテと対戦した日本シリーズだ。第4戦で延長10回一死満塁と絶体絶命のピンチでマウンドに上がると、福浦和也を三直併殺打に仕留めた。高橋は週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。

「福浦さんとの対戦では2球目、自分ではストライクと思ったのがボールの判定となり2ボール。このとき『ここまで日本一になるために頑張ってきたのに。ファンも日本一を楽しみにしているのに、僕が四球を出したらすべてを台無しにするなあ』と思いながら『そう思うとめちゃめちゃプレッシャーだなあ』とも思いながら投げていた記憶がありますね。でも、その状況をどこか冷静に見ながら、楽しめていた自分がいました。これは二軍では味わえない部分だなあ、などと思いながら腕を振っていました」

「試合の中にのめり込むことだけはしないようにしていました。自分の少し後ろから、自分の投球を操作している、いろいろな指示を自分に出しているという感覚で投げていましたね」

 その後、阪神にFA移籍して計18年間プレー。532試合登板で26勝15敗2セーブ141ホールド、防御率3.25をマークした。

 巨人は若手リリーバーの活躍が近年目立つ。大勢は1年目の22年に37セーブをマークし、新人王を受賞。船迫大雅は4勝22ホールドの好成績でプロ2年目の昨年に新人王に選ばれた。船迫と宮原はドラフト5位入団という共通点がある。先輩に続く活躍を見せられるか。

写真=BBM

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