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【大学野球】「今は悩みはありません」 東大史上初の女性部員で主務が誕生

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出身校は智弁和歌山


東大・奥畑マネジャーは同野球史上、女性部員で初の主務を務める[写真=BBM]


 東大が1月12日、2025年の活動をスタートさせた。マネジャーの奥畑ひかり(4年・智弁和歌山高)は、同部史上初の女性主務。すでに東京六大学では18年に慶大、22年に法大と立大、24年に明大と明大で女性部員が同幹部を務めており、奥畑で5校目となる。

「東京六大学野球連盟創設100年の年に主務を務めさせていただくことになり光栄に思います。東大が勝てば、六大学は盛り上がる。勝ち点を取る1年にしたいと思います。今年は記念行事などが企画されており、神宮球場を通じて歴史と伝統を感じる1年になります」

 智弁和歌山高出身。3年夏(2021年)、野球部は甲子園で21年ぶりの全国制覇を遂げた。コロナ禍で開催された同大会は入場券販売が行わず、原則、無観客で開催。学校関係者、生徒、保護者のみの入場が許された。ところが、大会期間中に緊急事宣言が発令され、系列校対決となった智弁学園高(奈良)との決勝は「野球部員、野球部員ならびに指導者の家族(1人につき3人以内)、教職員」に制限。つまり、ブラスバンドやチアリーダーら生徒、野球部OB、OGの来場は不可となった。

 奥畑は振り返る。「大阪で模試を受けていました」。現役には東大に合格。もともとの野球好きから智弁和歌山高で学んだ背景があり、赤門を突破すると、当然のように野球部の門をたたいた。オープン戦では青学大のエース・中西聖輝(4年・智弁和歌山高)と再会して旧交を温めると、周南公立大・大仲勝海とも定期的に連絡を取り合っているという。

「東大は他の5大学とは異なり、学生主体で物事が決まっていきます。自分では主務をやりたい気持ちがありましたが『果たして女子で良いのか……』と、解消し切れない部分がありました。選手のほうから『私で良い』と推薦をしてもらい、今は悩みはありません。昨年の主務・岩瀬さん(笑太、開成高)には、さまざまな部分で相談に乗っていただきました。お世話になり、感謝しかありません」

すべてを捧げる覚悟


 思い描く主務像とは。

「私にできるのは、選手がプレーしやすい環境を整えること。個性の強い代なので、うまくまとめていけるようにしていきたい」

 昨年11月の新チーム結成直後、主将・杉浦海大(4年・湘南高)以下幹部に加え、エース・渡辺向輝(4年・海城高)で食事会を行った。もんじゃ焼きで親交を深め、結束を高めた。

「最近は女性主務も増えてきましたが、マネジャー組織において、運営面で少しでも男女の壁をなくしていきたいと思っています」

 とにかく野球好き。「野球と人のつなげる仕事。スポーツを通じた町づくりの中で、人と暮らしをつなげていけたらと思います」。こうしたコンセプトを基準に、就職活動を進めている。

 学生ラストイヤー、東大野球部のためにすべてを捧げる覚悟だ。「どんな仕事も楽しいですが、勝ったときが一番、うれしいです」。最強の裏方が大所帯の屋台骨を支えていく。

文=岡本朋祐

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