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第2の鈴木誠也? 将来のクリーンアップ期待される「巨人の若武者」は

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実戦向きの選手


花咲徳栄高から巨人にドラフト1位で入団した石塚


 リーグ連覇を目指す巨人は、若返りが大きなテーマになっている。主力として長年活躍していた坂本勇人は今年37歳を迎え、広島からFA移籍7年目の丸佳浩は約2カ月半後に36歳になる。レギュラーが確約されている岡本和真は28歳と全盛期だが、来年以降にメジャーに挑戦する可能性がある。強さを持続する球団は若手が頭角を現し、チームの戦力が底上げされる。将来を嘱望される逸材として、ドラフト1位で入団した石塚裕惺(花咲徳栄)にかかる期待は大きい。

 阿部慎之助監督は高い評価を口にしている。

「野球をしている姿も素晴らしかったし、負けん気の強さを(今夏県大会の)映像からも感じた。打つほうも素晴らしいし守備も抜群。この選手は少し格が違うなと。それくらい評価していた。将来は坂本勇人みたいな選手になってほしい。『2、3年後には』などと言っていないで、早く出てきてもらって一軍の戦力になってもらいたい」

 花咲徳栄高で1年秋から「四番・三塁」を勝ち取り、2年春から遊撃に。3年夏の甲子園は1回戦で敗退したが高校日本代表で四番を務めた。高校通算26本塁打と長打力があるだけでなく、ミート能力も高い。アマチュア野球を取材するライターは「打撃は高校生のレベルではない。イメージが重なるのが鈴木誠也(カブス)です。懐が広い打撃フォームでどんな球にも対応して芯できっちりはじき返す。グイグイ引っ張る性格ではないですが、周囲を包み込む包容力がある。実戦向きの選手ですし、頭角を現すのは早いと思います」と太鼓判を押す。

 名将・岩井隆監督は昨年7月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。

「石塚はとてもクレバーな選手です。徳栄にはいなかったタイプかもしれません。守備は堅実でソツがなく落ち着いています。中学時代から経験値が高いからでしょう。打撃も穴がなく、広角に打てます。数字的にもまずまずですが、私的には物足らない。まだまだやれるはず。春の大会でもウチの中では目立ってなかったですし……。夏はもっと打点を挙げてくれたら、と。あとはもっと勝負師の雰囲気を醸し出してほしい。『俺が決めてやる!』くらいの感じで……。それが出てくれば、ベンチの士気も高まりますし、チームの勝利にもつながる。プロでも求められるのはいかに勝利に貢献するか。最後の夏はそこをとことん追求することで、自分の価値を高めてほしいですね」

2年目からレギュラーの坂本


高卒2年目にレギュラーの座を手中に収めた坂本


 坂本勇人、岡本和真と高卒でドラフト1位入団した先輩たちは、プロ1年目から爪痕を残している。坂本は新人の07年7月に一軍デビュー。4試合出場でプロ初安打初打点を記録すると、翌08年は全144試合出場して打率.257、8本塁打をマークした。その後は不動の遊撃手として15年以上活躍し、20年に史上2番目の年少記録となる31歳10カ月でプロ通算2000安打を達成した。

 岡本も高卒1年目の15年に17試合出場。9月5日のDeNA戦(横浜)に代打出場すると、砂田毅樹から左越2ランを放ち、プロ初安打を初アーチで飾った。ちなみに、同じく高卒ドラフト1位入団の浅野翔吾も高卒1年目の23年に24試合に出場し、打率.250、1本塁打、2打点をマーク。石塚は「自分も並べるように。一軍の試合に早く出て、初安打を記録したい」と気合十分だ。

 大きな志を持ち、プロの世界に飛び込む。

「簡単な道ではないことは承知しているが、シーズンで3割30本塁打が打てるショートになりたいし、いずれは2000安打を打ちたい」

 遊撃は守備の負担が大きい。かつて、セ・リーグの遊撃で打率3割、30本塁打を達成した選手は坂本、池山隆寛(元ヤクルト)、野村謙二郎(元広島)がいる。石塚は高卒1年目から一軍で輝きを放てるか。立ちはだかる壁は高いが、球界を代表する遊撃を目指す。

写真=BBM

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