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甲斐拓也FA加入で正念場も…他球団の評価高い「巨人の万能型捕手」は

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正捕手候補は甲斐だが…


昨年はチームで最も多くスタメンマスクをかぶった岸田


 リーグ連覇を目指し、オフに積極的な戦力補強を敢行した巨人。扇の要として期待が大きいのが、ソフトバンクからFA移籍で加入した甲斐拓也だ。

 巨人は2019、20年と日本シリーズで対戦したソフトバンクに2年連続4連敗の屈辱を喫している。相手チームの司令塔として立ちはだかった甲斐のすごみを体感しただろう。常勝軍団の主力選手として活躍し、代名詞は「甲斐キャノン」と評される強肩だ。広島と対戦した18年の日本シリーズではシリーズ新記録の6連続盗塁阻止で、育成出身初のMVPを獲得。投手の良さを引き出す配球術に定評があり、ゴールデン・グラブ賞を7度受賞している。打撃は確実性に課題があるが、2ケタ本塁打を4度マークするなどパンチ力がある。小技のうまさにも定評があり、20年から3年連続リーグ最多犠打を記録している。

 侍ジャパンでも21年の東京五輪、23年のWBCと頂点に輝いたチームの一員として活躍している。新天地で正捕手に最も近い存在であることは間違いないが、生え抜きの捕手たちも意地がある。強肩が武器の小林誠司、強打の捕手として知られる大城卓三、昨年チーム最多の72試合でスタメン出場し、リーグトップの盗塁阻止率.475をマークした岸田行倫と能力の高い3人の捕手がそろう。

 特に岸田は他球団からも評価が高い。昨年まで他球団でバッテリーコーチを務めた球界OBは「ファームでプレーする期間が長かった時期からいい捕手だなと感じていました。野球を知っているという表現がしっくりきますね。『おっ、ここでその球を投げさせるか』とこちらが感心させられる大胆なリードを仕掛けてくる。攻守で能力が高い万能型捕手で、残している数字以上に貢献度が高い」と称賛する。

序列をひっくり返して


 岸田は岡本和真と同学年の28歳。報徳学園高のときは高校日本代表で岡本とともにクリーンアップを担っていた。社会人野球・大阪ガスで1年目から正捕手を務め、ドラフト2位で巨人に入団。小林、大城の背中を追いかける時期が続いたが、阿部慎之助監督が就任した昨年に序列をひっくり返した。自己最多の88試合出場で打率.242、4本塁打、26打点をマーク。CSファイナルステージでDeNAに敗れて日本シリーズ進出はならなかったが4年ぶりのV奪回を果たし、プロ入り7年目で初の優勝旅行を体験した。岸田は週刊ベースボールの取材で以下のように振り返っていた。

「ハワイへの優勝旅行は楽しかったです。初めて行ったのでどんな感じかも分からなかったんですけど、天候がいいので気持ちよかった。日差しが温かくて、空気はカラッとしていて、日本の夏みたいな蒸し暑さがない。日本に帰ってきたとき『寒っ!』ってなりました。旅行中は毎日ゴルフに行きました。終わってから空いた時間はジムでトレーニングをしていましたが、毎朝ゴルフの出発がすごく早かったので、途中からめっちゃしんどかったです(笑)。毎晩、気絶するように寝落ちしました。優勝したらこういういいことがあるというのを知ることができたので、来年はよりいっそう頑張ろうという気持ちになりました」

大きな糧になる監督の助言


 まだまだ発展途上の選手だ。現役時代に球界を代表する捕手として活躍した阿部監督の助言が大きな糧になっている。

「僕はお2人(小林、大城)に比べてまだまだ経験がないので、監督が捕手の視点でいろいろアドバイスをくれたり、配球の面でも指示を出してくれたりしたんですけど、『こういう考え方もあるんだ』っていう、自分の中にはなかった発想や考え方を持たれているので、すごく勉強になりましたし、気づきもたくさんありました。いろいろな人に言われたことや考え方を自分の引き出しにしていきたいです」

 甲斐の加入で正捕手争いはさらに熾烈になるが、ハイレベルな競争で力を磨けばさらに大きく飛躍できる。誰もが認める不動の正捕手へ――。岸田の新たな挑戦が始まる。

写真=BBM

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