「大学では『勝てる投手』になりたい」

早大の新1年生・小松は昨夏の甲子園で自己最速150キロを計測。将来性高い右腕である[写真=BBM]
早大は2月1日、総合型選抜2群(アスリート選抜入学試験)で合格した新1年生4人が合流。午前9時から約5時間、活動拠点の安部球場(東京都西東京市)で初練習を行った。
「野球だけできる人間を目指しているのではなく、野球もできる人間になりたい」
花巻東高出身の小松龍一は大学進学の目的を、こう語る。佐々木洋監督から教わった3年間の教えが、骨の髄まで浸透している。
「早稲田大学では(在籍するスポーツ科学部で)スポーツ科学の最先端を学べる。研究の成果を、競技力に生かしていきたい。もちろん、野球が軸であることは間違いありませんが、いずれユニフォームを脱ぐ日が来る。人の役に立つスキルを身につけていきたいです」
1学年上に
佐々木麟太郎(スタンフォード大)がいた2年夏の甲子園は8強進出。かつて、同校OBのエンゼルス・
菊池雄星、ドジャース・
大谷翔平が下級生時代に着けた出世番号の背番号「17」で、聖地を躍動した。3年夏の甲子園では自己最速150キロを計測。早大・
小宮山悟監督は投球センスに惚れ込んでいる。
「高校ではチームに貢献することができなかったので、大学では『勝てる投手』になりたい。真っすぐだけでなくフォーク、スライダー、ツーシームとどの球種でも勝負でき、内外を投げ分ける制球力も磨いていきたいです」
チーム内には、あこがれの先輩がいる。昨年の東京六大学リーグ戦で春秋連覇の原動力となった151キロ右腕・
伊藤樹(4年・仙台育英高)だ。「自分は投球術、配球に疎いので(苦笑)、卒業するまでのこの1年で勉強したいです」と弟子入りを志願する。
「まずは、ケガをしないように、1年時からのベンチ入りを目指し、3、4年ではチームの柱として、周りから『勝利が確信できる』と、思われるような存在になりたいです」
アスリート選抜入試で入部する投手は2人。同級生に左腕・佐宗翼(星稜高)がおり「ピッチングからも多くの学びがあり、切磋琢磨して頑張っていきたい」と共闘を固く誓う。
初日の練習の感想を聞くと「今まで以上に走る量が多かったので、少し足が疲れました」と初々しいコメント。生まれ育った岩手の冬は、屋外での練習は難しく「東京は暖かいですね」と大歓迎の様子だ。恵まれた環境下で「野球もできる人間」を追い求めていく。
文=岡本朋祐