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高卒4年目で大化けの可能性 他球団が「規格外」警戒の西武192センチ左腕は

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今季はリリーフ起用


昨季は9月26日のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げた羽田


 プロ野球の春季キャンプが2月1日にスタートした。昨年球団史上ワーストの91敗で最下位に低迷した西武西口文也新監督が就任。巻き返しを誓う今年のチームスローガンは「ALL ONE」だ。指揮官はこの言葉に込めた思いを語っている。

「野球はチームスポーツだと言われていますが、一人ひとりが個々の能力を高め、チームに還元することで勝ちにつながるという想いを込めたスローガンです。選手たちには昨シーズンの悔しさをもって絶対にレギュラーを掴み取ってやるのだという強い気持ちで今シーズンに挑んで欲しいです。一人ひとりがその気持ちをもってプレーをすることで、チームが良い方向に向かうと思います。今年は絶対にやってやる! という覚悟をもって、選手たちとともに春季キャンプ、そして新シーズンへ向けて取り組んでいきたいと思います」

 昨年に苦戦した理由として得点力不足が挙げられる。350得点はリーグ最少。打率.212、60本塁打もリーグワーストの数字だった。打線強化が最重要課題であることは間違いないが、改善すべき点は他にもある。救援陣の再整備だ。昨年の救援防御率3.41はリーグ5位。前年の2.79から悪化した。投手出身の西口監督はリリーバーの重要性を痛感している。平良海馬を守護神に据えた。セットアッパーは右が甲斐野央田村伊知郎、若手成長株の上田大河、復活を目指す水上由伸平井克典と力のある投手がそろう。一方で左は手薄だ。昨年チームトップの17ホールドをマークした佐藤隼輔の次が出てこない。そこで、指揮官が救援での起用を明言したのが将来のエース候補・羽田慎之介だった。

高い言語化能力


 192センチの長身から投げ下ろす最速157キロの直球には大きなロマンが詰まっている。愛称は「和製ランディ・ジョンソン」。埼玉県所沢市出身の左腕は本拠地のベルーナドームが自宅から近かったため、幼少期から西武ファンだった。小学生のときにライオンズジュニアに選出されている。西武に入団することは運命だったのかもしれない。制球力、スタミナ、フィールディングと伸ばさなければいけない点はまだまだ多いが、入団時は線が細かった体は厚みを増し、技術面でも順調にステップアップしている。一軍デビューを果たした昨年は9試合登板で1勝3敗2ホールド、防御率2.76をマーク。救援登板した9月26日のソフトバンク戦(みずほPayPay)で1回無失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。

 個性的な発言が多く天然キャラとしてファンの間で認知されているが、プロ意識が高く自己分析する際の言語化能力が高い。高卒1年目にイースタン・リーグ初登板で直球が150キロ以上を計測して話題を呼んだが、「コントロール、クイックなど、まだまだ課題ばかり。内容的にも、その回とか、一人の打者に対して、根拠のあるボールを投げられていなかったことが多かった。ただストライクが入るからストレートを投げるとか、そういう感じで投げていたので、もっと『こうしたらこうなる』と想像した中で投げて、過程があって結果が生まれるようなピッチングをしたい」とシーズン後に冷静に振り返っていた。

救援登板のメリット


 高卒でプロ入り後に球界を代表するエースとして飛躍した千賀滉大(メッツ)、山本由伸(ドジャース)はセットアッパーとして頭角を現し、能力を引き上げて先発に転向している。他球団の投手コーチは「救援でマウンドに立ち続けることで、体が強くなるし短いイニングを思い切り投げるので出力が上がる。先発に転向後もプラスになることが多いことは間違いない。羽田は間違いなく規格外の素材です。一軍のマウンドで経験を積むことで成長のスピードが上がるでしょう。ああいう投手が中継ぎに控えているのは厄介です」と警戒を強める。

 西武ファンは、菊池雄星(エンゼルス)のような左腕エースになることを願っている。輝かしい未来を切り拓くため、中継ぎで絶対的な存在を目指す。

写真=BBM

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