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W杯出場権を手にできるか! 2025第2回ユースBasebll5アジアカップが台湾で開催

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ベースボール競技型のアーバンスポーツ


代表選手は8人。東京都内で7度の強化練習を経て、開催地・台湾に向かった。チームはBasebll5の「5」ポーズを取って士気を高めた[写真=BBM]


 2025第2回ユースBasebll5アジアカップが3月11日から14日まで台湾・台北市内で行われる。出発を前にした8日、東京都内で会見が開かれた。7カ国・地域(日本、香港、イラク、韓国、マレーシア、タイ、台湾)が参加し、日本は初出場。7チーム総当たりで、上位2チームが決勝へ進出し、WBSCユースベースボール5ワールドカップへの出場権を手にできる。なお、3・4位決定戦の勝者がアジアのラスト1枠の切符をつかめる。

 今回はユース世代(日本国籍を有する2007年1月1日~2010年12月31日生まれが出場資格)における「国際大会デビュー」となるが、オープン世代はすでに実績を残している。2022年の第1回アジアカップ準優勝、第1回ワールドカップ準優勝。24年4月の第2回アジアカップ初優勝、同年10月の第2回ワールドカップでは、準優勝を遂げている。

 Basebll5はWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が2017年、野球・ソフトボールの振興を目的に始めた。男女混合5人制で、キューバの街中で遊ばれていた「手打ち野球」がルーツ。「手軽に」「短時間で」「スタイリッシュ」。ベースボール型競技のアーバンスポーツだ。

 同競技の普及・振興に尽力している全日本野球協会・山中正竹会長は言った。

「アーバンスポーツとして世界的に注目を浴びているスポーツで、日本のチームも力を付け、競技人口も徐々にではありますが増加しています。さらに一層、私たちはこの競技を日本の中で繁栄させ、定着させ、そして強化していかないといけない。Basebll5 JAPANのスーバーバイザーには、斎藤佑樹さん(元日本ハム)にお願いし、Baseball5にかける思いをご理解いただきたいと思います」

 スーパーバイザー・斎藤佑樹氏が、この日の会見にサプライズで出席した。「仲間とのチームワーク、対戦チームとのコミュニケーションは人生の宝物になる。勝ち負けも大事ですが、日本が世界で存在感を出してほしい」と、出場選手たちにエールを送った。

選考基準も「世界一」を見据えて


競技歴3年の本池監督はBasebll5への熱き思いを語った[写真=BBM]


 ユース代表を指揮する本池太一監督(38歳)は競技歴3年。昨年のアジアカップとワールドカップを、選手として経験した。

「チームメートからは次の目標として『世界一』を明確に口にするようになったんです。ワールドカップを連覇したキューバのほか、各国の戦略、戦術を勉強してきました。積み上げてきたものをユース世代に継承し、引き継いでいくのが私の使命と考えております」

 メンバーは男女混合で各4人の計8人。第2回日本選手権の予選、本戦で30人絞り、2月に3度の選考会を実施し、8人を決定した。選考基準も「世界一」を見据えたものだった。

「男性はフィジカルが強く、走力が長けた選手、女性は守備力を重視しました。捕って、素早く投げるプレーが要求されます。Baseball5はアジリティーが求められる競技でもあり、本塁から一塁、本塁から三塁などのタイムも計測。また、日本選手権では野球・ソフトボールで言えば、当て逃げのようなプレーが多くのチームで見受けられました。ところが、アジアカップやワールドカップの国際大会では強い打球が打てないと、なかなか苦しい場面では後手を踏むんです。選考会では『強打』を要望しました」(本池監督)

 選考会後、7度の強化練習を消化してきた。

「オープンの日本代表の選手たち、日本のトップレベル選手と合同練習し、スピードとパワーを磨いてきました。日本人は野球、ソフトボールからつながってくる、捕って、投げる技術はもともとうまい。塁間が短いので、積極的に次の塁を狙うことが大切です。残り3日では、同世代の大学生、高校生に参加していただき、数試合の練習試合を実施、しっかりと準備ができました。周りを生かしながら、良い笑顔でプレーしているのが日本らしさです。アジアカップでは特長を生かした試合を展開し、予選リーグを首位通過し、決勝では優勝を目指します」(本池監督)

 指揮官は得点力を左右する「強打」のキーマンを挙げた。

「右打ちですと、三遊間に強く打つことが求められますが、逆方向にも強い打球を打てるのが、渡辺隼人なんです」。渡辺は言う。

「二番を打つ機会が多いんですが、先頭打者が出塁して、一、二塁間や一塁手の横の強い打球を打つことが求められています。走者を進めて、なおかつ、自分も出塁する。ずっと練習し、技術は身についた手応えがあります」

主将を置かなかった理由


 男女混合の計8選手のチーム編成で、本池監督はあえて主将を置かなった。理由を明かす。

「誰かを頼ってプレーしないように、あとは、準備期間が短かったので、キャプテンは選出しませんでした。ただ、この日の会見でそういったご質問があった際『話をしたい』と言った男女各1人がいましたのでお願いします」

「サポートしていただいている、応援していただいている方々への感謝の気持ちを忘れず、侍ジャパンとしての自覚を持ち、最後まで戦い抜く。チーム全員でコミュニケーションを取って、一致団結して、アジア制覇を目指します」(平野将梧)

「このチームにはキャプテンがいないので、全員が自分の行動に責任を持って、一人ひとりが意識的に動く。自分自身も皆の先頭に立って、積極的に声がけして引っ張ってきたいと思います」(森本愛華)

 本池監督を支える六角彩子コーチ(33歳)は、昨年のアジアカップで最優秀女性選手賞を受賞した競技者。女子野球においても侍ジャパンで実績がある。

「私たちは『侍ジャパン』として戦う以上、責任と自覚を持たないといけません。初めてユースのアジアカップに日本が出場するということですが正直、海外のユース世代のことは不透明な状況です。私たちも、どれだけ戦えるか分からないですが、Basebll5を皆で楽しんで、皆で成長して帰ってきたいです」

 選手7人が競技歴6カ月未満で、谷尾心瑚(国分寺高)は最長の2年というキャリアである。小、中学はバレーボール部、高校はハンドボール部と、野球、ソフトボールとも未経験だ。

「私が活躍することで、皆が挑戦できる可能性があること示していきたいと思います」

Basebll5 JAPANのスーパーバイザー・斎藤佑樹氏が、出場選手たちに、激励メッセージを送った[写真=BBM]


 なお、下記が代表選手のコメントである。

【背番号1】
雨堤花帆(女、16歳、右右、日立一高)
▼競技歴3カ月
「チームメートとのコミュニケーションを大事にして、チーム一丸となってアジア制覇を目指します。プレーが一瞬で終わるスリリングさに魅力を感じています。侍ジャパンを背負えるうれしさの反面、代表らしい振る舞いをしていかないといけない」

【背番号2】
小椋雄仁(男、16歳、右右、日大二高)
▼競技歴3~4カ月
「侍ジャパンを背負って戦う以上、責任を持ってプレーし、アジア1位を取る。他のスポーツよりも上達が早い。未経験者と経験者の差がなければ、ゲームは成立する。プレーでチームを引っ張って、アジア1位を取れるように頑張ります」

【背番号3】
杉浦瑠莉(女、17歳、右右、中京大中京高)
▼競技歴1年弱
「侍ジャパンには、一握りの選手しか入ることはできません。Basebll5を広げていきたいです。部活で野球の技術を向上させる一つのツールとして取り組んできました。スピード感がある競技で、見ている方も楽しんでいただけ、やりたいなと思えるスポーツです。スピーディーな走力と守備を生かして、アジアカップ優勝へと導けられるようにしたい」

【背番号4】
谷尾心瑚(女、16歳、右右、国分寺高)
▼競技歴2年
「男女混合が魅力です。一つのボール、スペースさえあれば、どこでもできるのがメリット。自分らしいプレーをして、チームメートとコミュニケーションを取りながら、アジア制覇できるように頑張ります」

【背番号5】
平野将梧(男、17歳、右右、横浜隼人高)
▼競技歴3~4カ月
「サポートや応援してくださる方への感謝の気持ちを持ちながら、チームメート全員でコミュニケーションを取り、一致団結してアジア制覇をできるように頑張ります。ボール1個でプレーできるのが魅力。男女混合チームで絆を深められる意味でも、人間関係を築く上でも良いスポーツ。侍ジャパンのユニフォームを着る以上、全力を尽くして戦いたい」

【背番号6】
星優大(男、17歳、右右、横浜隼人高)
▼競技歴3~4カ月
「侍ジャパンには、なりたくてもなれない。皆が目指しても、入るのは難しい中で、貴重な機会をいただきました。野球、ソフトボールに比べてスピード感がある。1球1球でプレーが次々と展開される、スピーディーさが魅力です。プレーの面だけではなく、礼儀正しさ、日本の素晴らしさを、些細な行動からしていき、アジアだけでなく、世界中に『日本は礼儀正しいアジアの国』と評価していただけるように行動し、アジア1位を取ります」

【背番号7】
森本愛華(女、17歳、左左、中京大中京高)
▼競技歴3カ月
「野球と比較してフィールドが小さいので、どんな場所でもプレーできる。雨天の際には、室内でも試合が成立する。左打者という利点を生かして、右方向の強い打球を打つ。声がけも先陣を斬って、チーム全体を引っ張っていきたいです。軟式野球を取り組んでいますが、女子の競技人口が少ないので、これを機に軟式を広めていきたいと思います」

【背番号8】
渡辺隼人(男、17歳、右右、横浜隼人高)
▼競技歴5~6カ月
「侍ジャパンとしてプレーできるのは、競技者として最高のモチベーションです。男女混合で試合を展開し、勝利を目指す中で、コミュニケーション力を高められるのが魅力です。選手8人と、監督・コーチの計10人で一つの輪になり、アジアチャンピオンを目指します」

文=岡本朋祐

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