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「楽天の則本昂大と重なる」他球団が衝撃受けた「DeNAの新戦力」は

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手元でホップするような軌道


力強いストレートが武器の篠木


 直球がうなりを上げる。新人離れした圧巻の投球で強烈にアピールしたのがドラフト2位右腕・篠木健太郎だ。

 3月5日の広島戦(横浜)で4回からマウンドに上がると、小園海斗に四球を出したが、後続を抑えて無失点。気温8度と肌寒いコンディションだったが腕を振り、エンジンが掛かる。5回に末包昇大をスライダー、林晃汰、ドラフト4位の渡邉悠斗をいずれも直球で3者連続三振に仕留めた。このイニングで直球を9球投じたが8球は空振りで残りの1球は見逃し。最速149キロという数字以上に打者は速く感じただろう。バットに当てることすらできなかった。9日のオリックス戦(京セラドーム)でも直球で押し込む。木更津総合高の先輩のドラフト4位・山中稜真を内角の150キロ直球で空振り三振。その後に一死一、二塁のピンチを背負ったが、遠藤成を146キロ直球で空振り三振、来田涼斗をカットボールで二直に仕留めて無失点で切り抜けた。

「投球フォームを見れば分かりますが、柔らかくて可動域が広い。リリースポイントが打者に近く、手元でホップするような軌道なので空振りを奪える。楽天則本昂大(楽天)と重なります。直球をあれだけストライクゾーンに投げ込めるのは、相当自信があるのでしょう。ちょっと驚きましたね」(他球団のスコアラー)

 高校時代から名が知れた投手だった。木更津総合高では1年夏に甲子園を経験。主将兼エースの3年時は新型コロナウイルスの影響で春夏の甲子園開催が中止となったが、千葉独自大会では5試合登板し、3完投2完封で防御率0.60と完璧な投球で頂点に導いた。法大に進学して2年春から主戦に。東京六大学通算14勝12敗、防御率2.26をマークし、大学日本代表入りもしている。

気迫を前面に押し出す投球


入団1年目の則本。豪快な投球スタイルで勝ち星を重ねた


 近年では珍しくワインドアップから左足を高々と上げるフォーム、ストライクゾーンに力強い球を投げ込む投球スタイル、気迫を前面に出す姿は、則本と重なる。ドラフト2位で入団という点も共通している。今から12年前。プロ1年目の13年で見せたパフォーマンスは強烈だった。WBCに出場したエース・田中将大(現巨人)のコンディションを考慮し、新人ながら開幕投手に抜てきされた。先発ローテションで白星を積み重ね、27試合登板で15勝8敗をマーク。球団初のリーグ優勝、日本一に大きく貢献し、新人王を受賞した。田中が翌14年にメジャー挑戦したため、プロ2年目からエース格に。新人から6年連続を含む8度の2ケタ勝利をマークし、守護神に抜擢された昨年は32セーブを挙げて最多セーブに輝いた。

 則本は14年から5年連続最多奪三振のタイトルを獲得している。16年に同学年の西勇輝(現阪神)と対談した際、直球について話が及んだ時の会話の内容が興味深い。剛速球を投げる大谷翔平(現ドジャース)、藤浪晋太郎(現マリナーズ傘下)と比較した上で、西は「俺はお前のほうが速いと思うわ。質が違うもん。あいつらは手足が長い。だから、お前はパワーがあるってことよ。というか、そもそも球速って意識してる? 俺は意識してない。基本的に1試合全体で力を使い切る計算で投げているから」と語ると、則本は「(球速を)意識してないことはないけど、それよりも、やっぱりボールの質やな。前に弾かれない真っすぐが理想。カウントが悪くなっても真っすぐでカウントを稼げるのが一番だと思っている」と直球への思いを口にしている。

まずはリリーフから


 DeNAの投手陣を見ると、救援が手薄なため篠木はリリーフに回る可能性が高い。将来的には先発に回ることが十分に考えられるが、新人から一軍のマウンドに立ち続けることになれば大きな成長の糧になるだろう。負けん気の強い性格はプロ向きだ。2月の春季キャンプを無事に一軍で完走した際、「チームになじむこともでき、いろんな先輩から学んだものも多かったです。横浜に帰っても日々を積み重ね、少しでもチームのリーグ優勝、日本一に貢献できるようにやっていくのが仕事だと思っています。マウンドでは気持ちで引いたら終わりです。新人ですし、ガツガツ投げ込めたらと思います」と意気込んでいた。

 シーズンに入り、ハマスタで奪三振ショーを見せる時が楽しみだ。

写真=BBM

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