7年前のドラフトで脚光を浴びた3人

昨季はわずか3試合の登板に終わった根尾
プロ野球は結果がすべての世界だ。今から7年前のドラフト。高校生の中で注目度が高かったのが、大阪桐蔭高で2年春、3年春夏に全国制覇を飾った中心メンバーの
根尾昂(
中日)、
藤原恭大(
ロッテ)、「高校生No.1遊撃手」の呼び声高い報徳学園の
小園海斗(
広島)だった。
小園と根尾は1位指名で4球団、藤原は3球団が競合。その後の歩みを見ると対照的な結果になっている。小園は昨年、全143試合に出場し、打率.280、2本塁打、61打点、13盗塁。自己最高の成績を残し、11月に開催されたプレミア12では侍ジャパンの中心選手として活躍した。なかなか殻を破れなかった藤原は故障で74試合出場にとどまったが、打率.290、2本塁打、21打点、4盗塁をマーク。今年は外野で定位置をつかみたい。最も苦しんでいるのが根尾だ。高校時代は投打の二刀流として活躍し、プロでは遊撃で将来の主力選手と期待されたが、外野にコンバートを経て、22年途中から投手に転向。一軍に定着できず、昨年は3試合登板で0勝1敗、防御率9.39と振るわず背水の陣を迎えている。
このドラフトでは、下位で指名された高卒入団の選手の活躍が目立つ。世代のトップランナーに上り詰めたのが、
巨人にドラフト6位で入団した
戸郷翔征だ。高卒2年目から先発ローテーションに定着すると、22年から3年連続12勝をマーク。いずれも170イニング以上を投げ、22、24年と最多奪三振のタイトルを獲得している。巨人にドラフト4位で入団した
横川凱もブレイク間近の雰囲気が漂う。大阪桐蔭高では同学年の根尾、
柿木蓮(元
日本ハム)に次ぐ三番手投手だったが、巨人入団後は育成契約を経験してはい上がり、昨年は12試合登板で3勝1敗、防御率0.94をマーク。今年は先発ローテーション定着を狙う。
この世代がチームの中心になっているのが日本ハムだ。4位の
万波中正、6位の
田宮裕涼が主力となり、
ソフトバンクにドラフト5位で入団して一軍出場がなかった
水谷瞬も昨オフに現役ドラフトで移籍して覚醒した。交流戦で史上最高打率.438を記録してMVPを受賞。今月に開催されたオランダとの強化試合で侍ジャパンに初選出されると、「一番・指名打者」で抜擢された初戦で先頭打者アーチを放った。
今年で25歳を迎える選手たち

世代の中心選手となっている万波
万波は昨年7月のインタビューで、ドラフト2位入団の
野村佑希を含めて同期入団の選手たちへの特別な思いを語っている。
「同年代という話では、やっぱりまずジェシー(水谷瞬、ミドルネーム『ジェッシー』からの愛称)ですね。ジェシーと僕とは共通点も多いですし、ホークスで5年間苦労してきて、ファイターズに来てからいきなりこれだけ活躍するのは、シンプルに『すごいな』と思いながら見ています。現役ドラフトで加入すると聞いたときは、やっぱり同じ外野手の身としては『また外野手が増えるのか』『より争いが激しくなるな』という気持ちだったんですけど、今となってはただただ『すげえな』という感じです。それにしてもジェシーはめっちゃよくしゃべる(笑)。僕自身もしゃべるほうなんですけど、比べ物にならないです。とにかく何かをしゃべってる。めちゃくちゃ明るいやつですね」
「それから何と言ってもタミちゃん(田宮裕涼)。いろいろなルートで同い年の選手がプロの世界、ファイターズに入ってくると思うんですけど、やっぱり同期、同学年というのはどうしても特別な感じがあります。一番最初にジェイ(野村佑希の愛称)がバッと活躍して、僕らはそれを見て、ものすごく刺激を受けながらファームで頑張っていたので。タミちゃんとはファームで一緒にやっている時期も長かったんで、今シーズンの活躍は素直にうれしい。いろいろな感情があるんですけど、やっぱり『うれしい』というのが一番正しい表現かなと思います」
「あとはジェイですね。僕はジェイが世代の先頭をずっと走ってくれていると思っています。もともと2年目から開幕スタメンになって、それからケガ以外ではずっと一軍でやってきたわけですから。それが今はケガ以外でもファームを経験したり、ジェイにとっては大変な時期だと思うんですけど、それでも『ジェイの世代』であることに変わりはない。一緒にいい成績を出したいなと思います」
大卒で入団した同学年の選手たちも、
森下翔太(
阪神)、
門脇誠(巨人)、
金村尚真(日本ハム)、
村松開人、
松山晋也(共に中日)、
曽谷龍平(
オリックス)がチームの核になろうとしている。
今年で25歳を迎える選手たちが同世代で切磋琢磨し、さらなる飛躍に期待したい。
写真=BBM