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【大学野球】「早稲田史上、最強の打者になれ!!」 指揮官から熱いゲキを受ける早大・尾瀬雄大

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不動の一番のポリシー


早大・尾瀬は3年秋まで通算打率.369。大学の先輩である岡田彰布氏の歴代最高の打率.379の更新を狙っていく[写真=BBM]


 早大は沖縄・浦添で3月5日から19日まで春季キャンプを張っている。不動の一番・尾瀬雄大(4年・帝京高)にはポリシーがある。

「バットを振った者が勝つ」

 チーム一の練習の虫である。3年秋までに東京六大学リーグ戦で通算73安打をマークしている左打者には、こだわりがある。

「自分の形で打つ」

 中堅のレギュラーを奪取した2年春に打率.347をマークすると、3年春は打率.479で首位打者を獲得。昨秋も打率.388と安定した数字を残し、9年ぶりの春秋連覇に貢献した。2年春からの4シーズンで72安打を量産し、通算打率は.369。好不調の波が少なく、相手校の研究を上回る卓越した技術。その根底には、自身のスイングが確立されていることにある。固めるには、大変な努力が必要だ。

 活動拠点である安部球場では全体練習後、室内練習場にこもる。置きティーでは外角低めなど、一つひとつのコースを確認しながら約100球、丁ねいに打つ。夕食後は後輩を誘っての打撃練習を約2時間。沖縄キャンプという環境が変わっても、そのスタンスは不変だ。誰よりもスイングしている自負がある。数が打席での安心感、自信につなげている。

「相手投手と対戦するわけですが、まずは『自分の形』をつくらないことには、勝負は始まりません。春で言えば、4月の開幕から6月の全日本大学選手権まで良い状態を続けていかないといけない。仮に目の前の1試合で崩れたとしても、変わらないものを構築しておけば、そこに立ち返ればいいわけです」

 ポイントは4つである。

(1)下半身で打つこと
(2)体幹で打つこと
(3)構えたら手の位置動かさない
(4)どんなコースも低いライナー。センターから逆方向を打ち続ける

 バットは指一本から一本半短く持ち、コンパクトに振り抜く。今春、チームとして取り組んでいるのは「走塁力」である。3月10日、日本生命とのオープン戦で、確かな手応えを得た。6回先頭の尾瀬が中前打で出塁すると、すかさず二盗。犠打と三番の主将・小澤周平(4年・健大高崎高)の適時打で先制点を挙げた。「エンドランもできますし、攻撃パターンが増えた。何とか1点をもぎ取る姿勢がチーム全体に浸透してきている」。

自室に貼ってある「117 .379」


外角を想定してのスイングチェック。この置きティーでの1球1球の丁寧な取り組みが、どんなコースにも対応できるスイングを固めていく[写真=BBM]


 打線をけん引し、チームをリーグ3連覇、そして秋も4連覇へと導いた上で、尾瀬が目指すは早大の先輩・岡田彰布氏(阪神前監督)が持つ歴代最高打率.379と、早大史上最多117安打の更新だ。早大・小宮山悟監督からは「早稲田史上、最強の打者になれ!!」と言われ、安部寮の自室には「117 .379」と書いた紙を貼り、モチベーションを高めている。

「チームの3連覇、4連覇に貢献した上で東京六大学の記録を塗り替える。チームが勝たなければ、記録の価値も下がりますので……。神宮ですべての力を出し切り、プロに行きたいです。鈴木浩文コーチ(元ヤクルト)からは『1年目からすぐにプロで活躍できるための準備を、この1年でしないといけない』と言われています。しっかり、自分の形をつくり上げ、春のリーグ戦に臨みたいと思います」

 尾瀬は改めて、自身のポリシーを語る。

「このキャンプでも、バットを振るだけです」

 説明するまでもなく、尾瀬の手はマメだらけである。体が覚えるまで、さらには、夢にまで出てくるほど、日々の練習に打ち込む。

文=岡本朋祐

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