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センバツ2025

【センバツ】キビキビとした入場行進を見せた横浜「名門」を証明する春が始まる

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勝負に挑む前に


昨年11月の明治神宮大会優勝校・横浜高。センバツ開会式で、主将・阿部葉太を先頭に、元気良く入場行進した[写真=石井愛子]


 第97回選抜高校野球大会が3月18日、阪神甲子園球場で開幕した。開会式での出場32校による入場行進。最も目を見張るものがあったのは、横浜高(神奈川)だった。

 とにかく元気が良いのである。音頭を取る部員に合わせて、19人が掛け声を発する。キビキビしていて、すがすがしい気持ちになった。

 2020年4月から母校を指揮する村田浩明監督にとって、甲子園に導くのは2021年夏、22年夏に続いて3回目。無観客(一般観客へのチケット販売は行わず、スタンドへの入場は学校関係者と大会主催者が許可した関係者のみ)だった21年夏の開会式は、学校紹介と同時に、外野に整列した選手たちが10メートルほど行進。簡素化された式典だった。22年夏は3年ぶりの有観客での開会式も、主将のみの入場行進(6校が欠席)。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置だった。

 つまり、村田監督率いる横浜高としては今春、初めて通常の形での入場行進が実現したのだった。3月7日の抽選会。市和歌山高との対戦が決まった後、村田監督はこう言っていた。

「名門と呼ばれる学校はあいさつ、取り組み、姿勢、すべてが優れている。(名門を)維持するのは難しい。そこばかりを話しています」

 勝負に挑む前に、高校生としての立ち居振る舞いの大切さを、強く訴えていたのである。

 この日の入場行進で、一つの「答え」を出した。かつての横浜高とは、明らかに異なる空気感だった。村田監督は尊敬する恩師・渡辺元智元監督からの教えを継承。圧倒する実力だけでなく、取り組みでも高校野球界をけん引していく覚悟を示したのだった。

 昨秋の新チーム結成以降、「第1章・神奈川制覇」「第2章・関東大会制覇」「第3章・明治神宮大会制覇」と筋書きを立て、公式戦15連勝で、秋日本一に輝いた。1月以降、センバツに向けて「第4章・1月制覇」「第5章・2月制覇」と鍛錬を続けてきた。第6章では「センバツ制覇 神奈川1強 心と体 確かなチーム力を付け、いざ甲子園へ~全員野球~」と設定し、大阪に乗り込んできた。

 準備は万全である。2年生5月から主将を務める阿部葉太(3年)が打線のけん引役で、146キロ左腕・奥村頼人(3年)、150キロ右腕・織田翔希(2年)の二枚看板を擁する。大会第2日目、第2試合の1回戦に登場。追求するのは「愛される、応援されるチーム」。チーム力の高さに加えて、人間力を高めてきた横浜高が「名門」を証明する春が始まる。

文=岡本朋祐

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