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森下翔太、石川昂弥、野村佑希…「開幕四番」託された若武者の現在地

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勝負強いバッティング


大卒3年目の今季、森下は四番を全うできるか


 四番は打線の核だ。岡本和真(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)、山川穂高(ソフトバンク)のように不動の座を築いた長距離砲がいる一方で、チームの未来を見据えて四番に抜擢されるケースがある。今年から新たに四番を担うのが森下翔太(阪神)、石川昂弥(中日)、野村佑希(日本ハム)だ。

 大卒3年目の森下は順調に階段を駆け上がっている。新人の2023年に球団の新人右打者で岡田彰布前監督以来43年ぶりの2ケタ本塁打をマーク。短期決戦でも勝負強さが光り、日本一の原動力になった。昨年はファーム落ちを経験した時期があったが、夏場以降に状態を上げて打率.275、16本塁打、73打点をマーク。11月のプレミア12では侍ジャパンの四番に抜擢された。藤川球児新監督は新四番に指名し、三番・佐藤輝明、五番・大山悠輔のクリーンアップで臨む方針を固めている。

 熱狂的な阪神ファンで知られるタレントのダンカン氏は週刊ベースボールのインタビューで、「森下選手は皆さんご存じのように、大舞台で全然関係なく、普通に打つでしょ。そういう性格なんですよね。大山選手はすごく優秀だから、『この状況だったら最低、センターから右の外野フライでもいいんだ』とか、そういうことができる選手ですよね。ゲッツーも多いんだけど、『この状況ならまだ序盤だし、ガーンとたたいてスタンドインで先行していこう』とかね。打点の人だと思うから、残したランナーをかえしてくれる。大山選手の五番もいいと思いますね」と新クリーンアップに期待を込めている。

 オープン戦は体調不良で離脱した時期があり、打率.167に終わったが心配はないだろう。

指揮官からの高い期待


石川が覚醒しなければ中日の浮上はない


 3年連続最下位からの巻き返しを目指す中日は井上一樹新監督が、石川昂弥の四番起用を公言している。昨年は82試合出場で打率.272、4本塁打、25打点。度重なる故障の影響で規定打席に到達できなかった。だが、この和製大砲が打線の中軸で機能しなければ、チームの得点力が上がってこない。2月の春季キャンプから四番で起用され、「自分がそこを打てるようになればチームも強くなっていくと思う。自分が四番を打つんだという強い気持ちでやっています」と自覚十分。指揮官は「右の長距離砲として大きく育ってもらいたい。荒々しく強いスイングを続けてもらいたいです」と語っていたが、オープン戦は苦しんだ。

 オープン戦最終戦となった3月23日の楽天戦(バンテリン)で、初回一死一、二塁で遊ゴロ併殺。3回無死一塁で投ゴロ併殺に倒れるなど5打数無安打2三振。18打席連続無安打でオープン戦を終えた。14試合出場で打率.151、1本塁打、6打点。凡打に倒れて天を仰ぐ姿が心の葛藤を物語っていた。四番の重圧は自分で乗り越えるしかない。開幕戦から気持ちを切り替え、長距離砲としての才能を覚醒させられるか。

優勝への最後のピース


野村が四番で真価を発揮すれば日本ハム打線は超強力になる


 四番に抜擢された選手の中で、一番の驚きだったのが野村だった。昨年は56試合出場で打率.210、2本塁打、9打点。前年の125試合出場から大幅に出場機会を減らし、一軍に定着できなかった。2年連続最下位から2位に躍進した日本ハムはフランミル・レイエス、万波中正清宮幸太郎アリエル・マルティネスなど四番を担う力を持った強打者がそろっている。だが、昨年11月にエスコンFで開催されたファンフェスティバルで、新庄剛志監督が来季の開幕四番に野村の起用を宣言。球場はどよめきに包まれたが、決して奇策ではない。現有戦力を底上げしなければソフトバンクを追い越せない。野村は活躍してもらわなければ困る選手だ。

 求められるのは本塁打ではなく、強く速い打球で外野の間を射抜く打球だ。新庄監督から「ツーベースを打て」と打撃方針を示されている。二塁打を意識させる理由が分かりやすい。「ホームランいらないんすよ。このヒットでいい。大きいのを狙おうとすると崩されての内野フライが多くなる」と指摘する。後ろにレイエス、万波などが控えているため、本塁打を狙う必要はない。打撃の方向性が示されたことで、力みが消えて自然体で打席に立てている。

 オープン戦ではチーム最多の50打席に立ち、打率.289、1本塁打、3打点をマーク。凡打の内容も決して悪くない。指揮官の期待に応えるためにも、四番で大輪の花を咲かせたい。

写真=BBM

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