「今日の朝もそんな感じでした」

DeNA・三浦監督は2025年シーズン開幕への思いを語った[写真=田中慎一郎]
ペナントレースは約半年の長丁場。新たなシーズンの「開幕」には、いろいろな考え方がある。とにかく入り、スタートダッシュが肝心。一方で、143分の1ととらえるケースもある。
3月28日、昨年日本一のDeNAは
中日と対戦(横浜)。14時からの全体練習を前に、最も早くグラウンドに姿を現したのは主将・
牧秀悟だった。開幕の節目。きれいに髪の毛を刈り上げていた。自身のポジションである二塁の定位置付近で、入念なストレッチ。アスリートの誰もが口にする「準備力」。26歳の若きチームリーダーが、その姿勢を体現していた。
三浦大輔監督は約30人の報道陣に囲まれ、6分にわたり、質疑応答に応じた。就任5年目。毎年、恒例だという赤飯を食べて球場入りした。「開幕」への思い。あくまでも、目の前の1勝を全力で奪いにいくスタンスである。
「18歳のときからこの世界に入っていますけど、開幕の日は毎年、気持ちがグッと引き締まる。いよいよ始まるんだな、と。今日の朝もそんな感じでした」
好発進したいのは、当然のこと。だが、指揮官は平常心を強調する。センターポールには、日本一のチャンピオンフラッグがなびいている。光栄なことではあるが、現場を預かる指揮官としては、過去を振り返ることはしない。
「それは昨年の話なので、今年は今年で、2025年のリーグ優勝を目指して頑張っていきたいです」
昨年はリーグ3位から、26年ぶりの日本一へと駆け上がった。今季の照準は、まずは、27年ぶりのセ・リーグの覇権奪還である。
「手応えというよりか、ここまでしっかり準備をしてきて、やるべきことやってきた。今年1年、戦っていくということをやってきたので、それを続けていくことです。ずっと言ってきたように、いろんなパターンのイメージを持っています。(さまざまな展開を)想定しながら全員で戦っていきます」

横浜スタジアムは開門前から、多くのファンが詰めかけていた[写真=BBM]
地元・横浜開幕。熱心なファンの後押しがある。
「1年間、スタートの日ですけど、本当に1年間、一緒に戦っていきましょう、と。一つになっていきたいと思います」
横浜スタジアムの関係者入口を入ると、一塁、三塁ベンチへとつながる通路は、100本以上の胡蝶蘭らが、ところ狭しと並んでいた。いたる場所で花の香りが満ちている。意識しなくても「開幕」の特別感に触れることができた。場外には開門を前にして、待ち切れない多くの観客。プロ野球シーズン到来である。
文=岡本朋祐