自身初のベストナイン

移籍3年目の今季、中日の最下位脱出に細川の大爆発は欠かせない
中日が敵地・横浜スタジアムで
DeNAと対戦した3月30日の開幕3戦目。試合前のスタメン発表の際にスタンドがどよめいた。
細川成也の名前が呼ばれない。前日に右足に自打球を当てたため、大事をとってベンチスタートに。スタメン落ちは、移籍1年目の2023年4月9日のDeNA戦(横浜)以来2年ぶりだった。
だが、重症ではなさそうだ。1点差を追いかける9回二死の場面に代打で登場。
入江大生から四球を選んだ。後続がつながらず、チームは20年以来の開幕カード勝ち越しを逃したが、シーズンは始まったばかりだ。
活躍が期待される選手ではなく、活躍してもらわなければ困る選手だ。DeNAでは一軍定着できなかったが、現役ドラフトで22年オフに中日に移籍したことが野球人生の大きな転機になった。23年は140試合出場で打率.253、24本塁打、78打点マークすると、相手バッテリーのマークが厳しくなった昨年はさらに進化した。全143試合出場で打率.292、23本塁打、67打点を記録。確実性が上がり、打率、安打数、出塁率、本塁打数といずれもトップ5位以内に。外野手で自身初のベストナインに輝いた。
体調に細心の注意
長丁場のシーズンを乗り切るために、体調にも細心の注意を払っている。「自分のコンディションを可視化するために、指輪型の活動量計『Oura(オーラ)リング』を着用するようになりました。キャンプのときに小笠原(
小笠原慎之介)さんがしていて興味を持つようになりました。スマートフォンに接続すると、専用のアプリで睡眠の質や普段の心拍数、運動時の最大心拍数などを見ることができて便利です。寝ることについて、自分は7時間は寝たい。どれくらい寝られたかを確認して、さらにそれがどんな睡眠だったかをグラフでチェックしています。先日のオフのときは疲れていたのもあって、10時間くらい寝てました。シーズンも終盤。最後まで健康にプレーできるように頑張ります」と語っていた。
貴重な和製大砲は侍ジャパンで日の丸を背負う可能性がある。来年にWBCが開催されるが、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦の可能性がある
村上宗隆(
ヤクルト)、
岡本和真(
巨人)が出場するか不透明な状況で、細川はクリーンアップを担う力を備えている。侍ジャパンでプレーした経験はないが、今年の活躍次第では有力候補に名前が上がるだろう。
指揮官が目指す『スピード&パワー』
侍ジャパンの
井端弘和監督は目指すチーム像について、昨年1月に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「『やりたい野球』と言うのであれば、僕の中で『スピード&パワー』ですよね。12歳以下の代表監督を引き受けたときに、それは掲げていました。世界で戦うために、これからうまくなっていく子どもたちには小技ではなく、世界に通用するパワーとスピードを兼ね備えてもらいたいと思っていました。タイブレークの場面になってもバントという選択肢はありませんでしたから。それはトップチームになっても変わらないですよ。あくまで理想は、ですが」
「理想を押し付ける必要もないですしね。代表の場合は、どういう野球をするかというのは選手たちの顔を見ないと僕も自分の中でイメージが湧いてこない。NPBの監督なら、春のキャンプから選手たちの動きを見て、チームとしてのイメージができますが、代表の場合は次の大会に同じメンバーであるとは限らない。そうではないことのほうが多い。やりたい野球を決めてつけても、選手が1人代われば、できる野球も変わってくる。メンバー編成があって、そこからやるべき野球、できる野球のイメージが湧いてくるのだと思います」
細川は昨年ヤクルトと対戦した開幕カード3連戦(神宮)で12打数無安打だったが、その後はコンスタントに打ち続けた。今年も細川の活躍なくして、3年連続最下位から巻き返しは望めない。次のカードで対戦する巨人は開幕3連勝と勢いに乗っているが、負けられない。本拠地・バンテリンドームで主砲のアーチが見られるか。
写真=BBM