昨春に投手へ転向

東海大・求は試合を締める役割を任されている[写真=大平明]
【4月6日】首都大学一部リーグ戦
東海大8-5帝京大
(東海大2勝)
首都大学リーグ第1週2日目。東海大が8対5で帝京大を下し、開幕2連勝。勝ち点1を挙げ、絶好のスタートを切った。
この試合の9回を締めたのが
求航太郎(3年・東海大相模高)だ。東海大相模高時代は2年春のセンバツ出場。明豊高との決勝では二番手で登板して2回1/3を無失点に抑えた。大会通算2試合で6回1/3無失点で優勝に貢献。その後は、外野手との二刀流で3年夏は四番も任された。
東海大進学後は野手としてプレーし、1年春は2試合に出場。しかし、昨春のシーズン開幕直前、チーム事情から投手へ復帰することとなった。「オープン戦までは野手をやっていたので、急にピッチャーをすることになってびっくりしました」。本人も予想していなかった転向だったが、開幕2戦目の城西大戦で初登板。5点リードの9回からマウンドに上がり、自己最速の154キロをマークした。
「練習を始めたばかりだったので不安もあったのですが、154キロが出て『ピッチャーで行こう』と思いました」
その後も救援として起用され、通算6試合で6回を投げ、防御率1.50。秋は桜美林大2回戦で8回からの2イニングを無失点に抑えると、チームがサヨナラ勝ちしてリーグ戦初勝利を挙げた。現在は「野手には少し未練も残っていますが、投手の練習に専念しています」とのことだ。
この冬のオフシーズンは走り込みに加えて、投げ込みにも力を入れてきた。
「自分はリリーフで登板することが多いので、3日連続や4日連続でブルペンに入って、30~40球。さらに、バッターと対戦する感覚を養いたかったので志願してバッティングピッチャーをやっていました」
オープン戦では調子が上がらなかったが「疲れがあったのですが、体が順応していきました」とリーグ戦へ向けて復調。フォームについても「シンプルに投げているのですが、この冬から投げる前にボールを持っている右手で左足の太ももに軽く触れてから体を割って投げるようにしたところ、タイミング良く投げられるようになりました」と修正してきた。
終盤の厳しい場面で起用
この日の帝京大2回戦では
大塚瑠晏(4年・東海大相模高)が適時三塁打など2本のタイムリーを含む3安打3打点。川田海(3年・羽黒高)も本塁打を放つと、先発・森木千汰郎(3年・東海大甲府高)は5回2失点の粘投。「緊張しましたが、ワクワクもしていました」と3点リードの9回から求が今季初登板。一死から「手が大きくて指も開くんです」という得意のフォークで空振り三振を奪うと、最後の打者は149キロのストレートで空振り三振。110キロ台の緩いカーブを見せ球に、緩急を使った投球で難なく三者凡退に斬って取り、チームに勝ち点をもたらした。
長谷川国利監督も「ボールに強さが戻ってきましたし、フォークも落差があるので今日のようなピッチングを続けて、大黒柱になってほしい」と話し、今後も終盤の厳しい場面で起用していくことを示唆している。
前日の1回戦は新入生の
沼井伶穏(1年・横浜隼人高)が試合を締めたが、求は「1年生であんなに堂々と投げられるのはすごい。自分も負けていられません」と話しており、チーム内の競争も激しくなっている。
今季の目標に「155キロを目指し、神宮球場(全日本大学選手権)で優勝」を設定している。才能を覚醒させ、チームの勝利に貢献していくつもりだ。
文=大平明