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球界最強のセットアッパーへ メジャーが注目する「巨人の右腕」は

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守護神から配置転換


今年はセットアッパーとして稼働している大勢


 阪神に今季初の同一カード3連敗を喫した巨人。貯金が1に減り、首位から陥落したが勝負は始まったばかりだ。ヤクルトとの開幕3連戦で計21得点をたたき出した打線は、その後の6試合で5試合が3得点以下となかなかつながらない。接戦で救援陣にかかる負担が大きくなる中で、この右腕がカギを握る。抑えからセットアッパーに配置転換されたプロ4年目の大勢だ。

 プロ1年目の2022年に守護神に抜擢され、37セーブで新人王を受賞。その後も抑えを務め、3年間で計80セーブを積み上げた。昨年は43試合登板で1勝2敗29セーブ5ホールド、防御率0.88。抜群の安定感で4年ぶりのリーグ優勝に導いたパフォーマンスは申し分ない。ただ100点満点をつけられるとそうではない。5月3日の阪神戦(甲子園)で登板中に右肩の違和感を訴え、約2カ月間離脱。「勝利の方程式」を再構築しなければいけなかったチームは、なかなか波に乗れなかった。

指揮官からタイトル獲得指令


 今年はコンディションを整えて1年間フルで稼働することを目指す中、過去3年間と役割が変わることに。NPB通算166セーブのライデル・マルティネス中日から加入。阿部慎之助監督は大勢の起用法について、「7回か8回」と明言した上で、「昨年もそうだったけど8回が鬼門だったから」とセットアッパーで重要なイニングを任せることを決断した。春季キャンプ中に大勢を呼んで話し合い、「ホールドのタイトルを取れ」と最優秀中継ぎ賞のタイトル獲得指令も出した。

 ブルペンでの配置転換に、大勢は前向きだ。週刊ベースボールのインタビューで、「考え過ぎてもよくないですし、やってみないと分からないところもある。やりながら調整していったらいいなと思います。まずは自分のやることをしっかりやって、準備していくだけ。その中で感覚とか、『こうできるな』というやり方をつかんでいきたいです」と語っている。

 試合展開によってブルペンで肩を作る回数が増えるかもしれないが、想定内だ。「見ていても7回や8回にマウンドに上がる人は大変そうだったですし。打者の左右によっても変わってきます。昨年だったらKK(カイル・ケラー)とバルちゃん(アルベルト・バルドナード)で右左(右腕と左腕)だったので、左だったらバルちゃんとか。シーズン後半になれば7回にワンポイントで行ってから回をまたいで8回とか、そういう場面も多くなっていくと思います。そうした対応力、準備力というのは試されるんじゃないかなと思います」とイメージを口にしていた。

 今季初登板は3月30日のヤクルト戦(東京ドーム)。2点リードの8回に登板すると、先頭の赤羽由紘に投手強襲安打で出塁を許したが動じない。西川遥輝ドミンゴ・サンタナを連続三振。ホセ・オスナを155キロ直球で遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。新加入の田中将大が586日ぶりの白星を飾った4月3日の中日戦(バンテリン)も、2点リードの8回にマウンドに上がると、常時150キロ中盤の直球で相手打線を3者凡退にねじ伏せた。

今季も好スタート


 12球団で最強のセットアッパーになれる可能性を十分に秘めている。4月6日の阪神戦(東京ドーム)は1点ビハインドの9回に登板。佐藤輝明を154キロ直球で一ゴロ、森下翔太を139キロのフォークで遊飛、大山悠輔を153キロ直球で右飛と強力クリーンアップをきっちり抑えた。

 メジャーの球団関係者は「侍ジャパンが世界一に輝いた23年のWBCで日本の投手たちのクォリティーが注目されましたが、大勢はその筆頭候補です。直球の球威、変化球のキレ、制球力とすべてが高水準でリリーバーとしてメジャーで十分に通用する」と高く評価する。

 ホールドを積み重ね、指揮官が望む最優秀中継ぎ賞を獲得すれば投手としての価値がさらに上がる。難しい役回りであることは間違いないが、大勢なら乗り越えられるはずだ。

写真=BBM

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