週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

「自分たちのスタイルは見せられた」 女子硬式野球選抜大会で準優勝まで駆け上がった履正社

  0

2度目の春日本一はならず


履正社高は準優勝。神戸弘陵高とは、大舞台での経験値の差が少なからず出てしまった[写真=菅原淳]


 大舞台で常日頃からのパフォーマンスを発揮できてこそ、本物である。

 第26回全国高等学校女子硬式野球選抜大会の決勝が4月6日、東京ドームで行われた。神戸弘陵高(兵庫)が履正社高(大阪)を5対1で下し、大会史上初の3連覇(3年連続5度目の優勝)を遂げた。履正社高は2017年以来、2度目の春の日本一はならなかった。

 履正社高は1回表、3失策が失点に絡み、2点を先制された。3回表に相手のスクイズを外し、追加点を許さずにペースをつかむと、4回裏に1点をかえした。だが、6回表に3失点で引き離された。

 試合後、履正社高の主将で捕手の釋迦堂愛琴(3年)は反省を口にした。

「守りから流れを作ってきたチーム。(初回は)硬かった部分がありました。緊迫感のある中でも、守りで厳しさを見せないと。(6回途中5失点の先発の)松村(瞳子、2年)は2回までは硬かったですが、3回以降は変化球を交え、相手打者をかわすことができました」

 神戸弘陵高は2023、24年と2年連続で春夏連覇。甲子園の大舞台も踏んでおり、結果的に経験値の差が出る形となってしまった。とはいえ、履正社高の目標はベスト8。準優勝まで駆け上がったことに、一つの達成感がある。

「こんなところまで来られるとは思っていませんでした。自分たちは弱い。チャレンジャー精神で強い相手を倒そうということでやってきました。自分たちのスタイルは見せられました」(釋迦堂主将)

 1失点で完投した相手エースの121キロ左腕・阿部さくら(3年)から5安打を放つも、犠飛による1得点に終わった。8三振を喫し、攻略することができなかった。

「アウトコースとインコース、真っすぐとカーブの制球が良かった。ビタビタと決めてきたので(苦笑)。狙い球を絞っていきましたが……。針の穴を通すようなコントロール。予想をはるかに超える投球内容。打ち崩すのは難しかったです。好投手に対してのストライクとボールの見極めが大事です」(釋迦堂主将)

 3800人の観衆が詰めかけた。実際にプレーしなければ分からない、多くの財産を手にした。春決勝は東京ドーム、夏決勝は甲子園が定着化。女子高校硬式野球に携わる選手にとって、2つの夢舞台は最高のモチベーションである。

「貴重な経験をさせていただきました。(夏に)甲子園という目標があるので、頑張れる。私たちは挑戦者であるので、プレッシャーに強いチームを作っていかないといけないです」

 履正社高・橘田恵監督は「攻撃、守備の部分でも(神戸弘陵高との)差を感じました。一つひとつ、足元を見つめ直していかないと、なかなか勝たせてくれない相手です」と危機感を口にした。表彰式後は、すぐに一塁ベンチ前に集まってミーティング。勝負の夏に向けて、チームは早くも再始動していた。

文=岡本朋祐

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング